ソニーは、グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを搭載するミラーレス一眼カメラ「α9 III」を2024年1月26日に発売する。希望小売価格はオープン。
α9 IIIは、新開発の有効約2460万画素メモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSイメージセンサーExmor RSにグローバルシャッター方式と最新の画像処理エンジンBIONZ XRを搭載し、最高約120コマ/秒のAF/AE追従でブラックアウトフリーの連続撮影を実現。また、AIプロセッシングユニットを搭載し、「リアルタイム認識AF」で、高精度かつ多種類の被写体を認識できる。120コマ/秒の高速スピード性能と高精度な被写体認識性能を掛け合わることで、捉えることが難しいとされる決定的な場面や、肉眼では捉えきれない瞬間を容易に撮影することが可能としている。
さらに、α9 IIIは、最速シャッタースピード1/80000秒(連続撮影時は1/16000秒)を実現し、高速で動く被写体でも止まっているかのように忠実に描写が可能。対応するソニー製フラッシュ「HVL-F60RM2」「HVL-F46RM」と組み合わせることで、シャッタースピード1/80000秒までの全速度でフラッシュを同調して撮影することができるという。
また、新たに高速連写による膨大な画像選択を効率良く行える再生画像フィルターや画像再生時でもファンクションメニューが使用可能になるなど、撮影から納品までのプロフェッショナルのワークフローを強力にサポートする。
なお、同時発表の焦点距離300mm F値2.8の大口径望遠レンズGマスター「FE 300mm F2.8 GM OSS」を含む豊富なレンズラインアップとの組み合わせにより、さらに躍動的な表現を可能としている。
α9 IIIの主な特長は以下の通り。
グローバルシャッター方式で生まれる新次元の静止画性能
従来のローリングシャッター方式は、画像の撮像面上部の画素から順に読み出す方式。一方、グローバルシャッター方式は、全画素を同時に露光・読み出すため、高速で動く被写体でも動体の歪みがなく見たままの撮影を可能している。
また、画像処理エンジンBIONZ XRとの組み合わせにより、ブラックアウトフリーで最高120コマ/秒のスピードでの高速連写を実現。さらに、高密度な像面位相差AFやAIプロセッシングユニットを搭載し、「リアルタイム認識AF」で高精度に被写体を認識が可能。加えて、8.0段の光学式5軸ボディ内手ブレ補正を備え、高品位な画像描写を可能としている。
シャッタースピードに関しては、従来メカシャッター方式がもつ制約から解放され、シャッタースピード最速1/80000秒を実現し、高速で動く動体でも止まっているかの様に一瞬を捉えた表現が可能。対応するソニー製フラッシュを装着した際は、シャッタースピード1/80000秒までの全速でフラッシュを同調して撮影することが可能。これまでは、フラッシュの同調速度以上の速いスピードでシャッターを切ると、光量が急激に低下していたが、全速フラッシュ同調機能により、高速のシャッタースピードでフラッシュを用いた明るい撮影を可能としている。
また、シャッターを押す前の瞬間を最大1秒前まで遡って記録できる「プリ撮影機能」、撮影中の連写速度変更や、連写した複数枚画像を高品位に合成する「コンポジットRAW撮影」などプロの撮影を支える各種機能を有している。
歪みのない進化した動画性能
グローバルシャッター方式のイメージセンサーにより、静止画同様、動画においても歪みのない映像表現を実現可能としている。例えば、車など高速で移動する乗り物から近くにある景色を撮影する時や高速に動く被写体などを撮影する時でも、歪みを気にすることなく撮影が可能。本機は、α(Alpha) シリーズとして初めて4K120pの高解像ハイフレームレートの映像でもクロップなしでの動画記録に対応し、意図した通りの画角で撮影を可能としている。
また、6Kオーバーサンプリングによる高解像4K動画の撮影が可能。さらに映像制作用デジタルシネマカメラ「VENICE」の開発を通じて培った画作り「S-Cinetone」により、人の肌や被写体を美しく際立たせ、自然なハイライトを実現可能。このほか、S-Log3を搭載し、Log撮影モード時はユーザーがインポートした好みのLUTを反映して表示できるなど、最新の動画性能を備えている。さらに映像クリエイター向けモバイルアプリ 「Monitor & Control」に対応としている。
プロに応える操作性・信頼性
プロフォトグラファーの声を聞き、プロの撮影を快適にサポートする操作性と信頼性を実現。グリップの形状は、人間工学に基づいた設計で、望遠レンズ装着時や長時間の使用時でも撮影者の負担にならないよう、手のひらで包み込むように握りやすいグリップを備えている。
また、横位置撮影時と同様の操作性とホールド性を実現する縦位置グリップ「VG-C5」を装着することで、長時間の撮影を快適にサポート。グリップとシャッターボタンまわりは、本体と共通のデザインを取り入れることで、カメラと共通の操作性で違和感なく撮影が可能。
さらにα9 IIIは、タッチ操作ができる4軸マルチアングル液晶モニターを搭載し、最新のタッチメニューによる直感的な操作ができる。電子ビューファインダーは、XGA OLEDを採用し、α7R Vと同等の輝度、倍率約0.90倍と高い視認性を実現。このほか、カメラ前面にカスタムボタンを配置し、グリップを握った指で連写速度ブーストを割り当てたカスタムボタンを操作することで連写速度を変更できるなど、即時性の高い操作が可能。プロフォトグラファーの過酷な環境での撮影を支えるという。
即納を支える高速ワークフローと拡張性
高速連写による膨大な画像の選択を効率よく行えるよう、再生時にもファンクションメニューが使用可能になった。また、事前に「再生ファンクションメニュー」を割り当てておけば、画像再生中にプロテクトやスマホ転送、FTP転送などを行えるという。
さらに、再生フィルターで絞り込んだ画像を選択し、ファンクションメニューから転送ができるので、特定の画像を素早い納品が可能。このほか、カメラ背面に音声メモ専用のマイクを搭載し、騒がしい環境下でも口元の場所に位置する内蔵マイクにより、クリアに音声を収音可能。収音した音声データは、画像と共にFTP転送できる。
また、各国の報道機関が参加する国際的な協議機関であるIPTC(International Press Telecommunications Council国際新聞電気通信評議会)のプリセットを最大20個設定可能。 画像納品ワークフローを高速化するプロ向けモバイルアプリケーション「Transfer &Tagging」への対応や有線LANを使ったPCリモート撮影を行うアプリケーション「Remote Camera Tool」に対応。またリモートでのカメラ操作と撮影設定の変更が可能なソフトウェアの開発キット「Camera Remote SDK」の新バージョンに、2024年春に対応する予定としている。
また、本機はFTPの操作性やリレー再生、C2PAフォーマット対応などの機能拡張を、カメラソフトウェアアップデートで対応予定。ソニーは、α1やα7S IIIにもブリージング補正やリレー再生、 C2PAフォーマット対応などの各種機能を今後拡充し、α9 IIIと共にプロフェッショナルのニーズに応えていくとしている。