Matrox Videoは、NAB 2024に出展。リモートプロダクション、ライブプロダクション、ST 2110およびIPMXの最新イノベーションを展示した。同社ブースのハイライトを紹介しよう。

あらゆる規模のコンテンツ配信を簡素化

「IP Video Conversion,Monitoring,& Routing」のコーナーは、ST 2110の環境を安価に簡単に整備できる製品群を紹介。ここでは主に「ConvertIP」と「ConductIP」を紹介していた。

Matrox ConvertIPシリーズの「ConvertIP DSH」

ConvertIPは、ベースバンドをST 2110、もしくはST 2110をベースバンドに変換するエンコーダー・デコーダーシリーズ。あらゆる環境でIP伝送を実現し、コスト効率の向上や拡張性の高いネットワークを実現するという。

映像信号のインターフェイスには、放送事業向けとしてSDIモデル、Pro AV向けとしてHDMIモデルをラインナップする。IP伝送インターフェイスにSFPモジュール搭載モデルなどもあり、価格含めてさまざまな製品のラインナップが用意されている。

「ConvertIP DSH」の背面。デュアルチャネルSFPを搭載するHDMI-to-IPトランスミッター/レシーバー

サポート伝送方式は、ST 2110のほかに、IPMXと呼ばれる規格にも対応する。IPMXは、PTPの環境がなくても映像伝送が可能なのを特徴とする。PTPに対応しようとすると、高額なスイッチやグランドマスターが必要になる。そういった高額な機器を必要としないのも特徴としている。オプションのJPEG-XSライセンスも用意されており、圧縮して映像伝送することも可能としている。

ブースでは、ConvertIPをデイジーチェーンさせて安全に運用できることも紹介していた。

ConductIPは、NMOSの制御系のソリューションとしてもお求めやすい価格の実現。簡単なユーザーインターフェースを実現しており、直感的にNMOSの制御の実現も特徴としている。

リモートプロダクションのワークフローを強化

「REMI & Contribution Encoding with Distribution」のコーナーでは、リモートプロダクションに特化したエンコーダー、デコーダー「Monarch EDGE」を紹介。

製品群としては「Matrox Monarch EDGE E4」がエンコーダー、「Matrox Monarch EDGE D4」がデコーダー、「Monarch EDGE S1」が双方向同時エンコード・デコードに対応する。エンコーダーはエンコーダーのみで、デコーダーはデコーダーのみ、S1はエンコードしながらデコードを同時に処理することが可能となる。

活用例としてはリターンフィードを活用したリモートプロダクションで、中継先の現場から遠隔のスタジオで編集された映像をほぼリアルタイムで確認できる。エンコーダーもデコーダー共に、タリーとインカムをサポートする。別系統でインカムやタリーなどを用意する必要がないというのも特徴としている。

Matroxの姉妹会社のGlobalMは、オンプレミスおよびハイブリッドビデオネットワーキングソリューションを展示。世界中に拠点があり、安定した映像伝送を行うことが可能であるという。

リモートワークステーションへのアクセスを効率化

「Remote Control & Operations」のコーナーでは、ほぼゼロ遅延のKVMを実現できるIP KVM「Extio 3」シリーズを紹介。制御したいパソコンに送信機のTXをつけて、RXで受信するという仕組みで動作する。

Matrox独自の「アグリゲーターモード」が特徴で、一つのモニターに4個のウィンドウを表示し、4台のパソコンの制御が可能。「ファイルを別のPCに持っていけるのでは?」と錯覚してしまうぐらいにシームレスにPC間を切り替えることができていた。

Extio 3は、マトリックススイッチャーのようなものを必要としないのも特徴としている。あとから増設の拡張が簡単なところも強みであるという。

DSX LE6 D100ネットワークインターフェースを展示

開発向けのコーナーでは、Matroxディベロッパープロダクツの製品群を紹介。もともとMatroxは SDIの入出力が主流だったが、昨今はST 2110対応の入出力を展開している。

同コーナーでは、ST 2110に対応した「DSX LE6」を展示。今までは25Gbps対応のST 2110対応入出力に対応だったが、DSX LE6はデュアル100Gbps対応のインターフェースカードを実現している。

ライブプロダクションを仮想化

「Live Cloud Production」のコーナーでは、映像制作をクラウド化できるメディアフレームワーク「ORIGIN」を紹介。基本的にはディベロッパープロダクツと同様、APIを使って開発して、各局でカスタマイズした製品を作るという製品となる。

金融、監視、教育でクラウド化が進むのに、放送業界においてクラウド化が進まない理由に、同期の問題がある。画と音とを完全同期をクラウドで実現するとなると工夫が必要だけでなく、できるだけ低遅延で処理する必要もある。

ORIGINはこの課題を解決し、各局のワークフローに合わせた映像制作をクラウド化するソリューションが実現可能としている。