ARRIは、NAB 2024でALEXA 35 Live – Multicamシステム、SkyPanel X、Orbiter、新L-Series Plusスポットライトなどを展示した。

注目は、ALEXA 35 Live – Multicamシステムの展示だ。ARRIはライブエンターテインメントの分野で大きなステップを進んでいる最中で、今後、同分野にはさらに多くのリソースを投入してくという。目標はシネマティックルックをライブプロダクションへ提供することと、既存のライブプロダクションのインフラとの統合は課題としている。

ARRI、カメラシステムのシニアプロダクトマネージャー、マーク・シップマン=ミュラー氏

ARRIは、ライブエンターテインメントのビジネスを始めてだいぶ経過しており、AMIRA、TRINITY Live、360 EVOなど多くの製品をリリース。さらに、ARRIグループにはプロ用照明システムの分野で世界レベルのリファレンスブランド「Claypaky」があり、同ブランドはコンサート照明も手がけている。これらの製品を使って、アデル・ローリー・ブルー・アドキンスやビリー・ジョエルなどのハイエンドなコンサートを数多く手がけている。コーチェラ、コールドプレイ、デュア・リパ、シャロン・ウィリアムズ、その他多くのコンサートを手がけてきており、そこからすでに多くのことを学んでいる。その情報をもとに、新システム「ALEXA 35 Live – Multicam System」を発表したという。

ライブプロダクションシステム「LPS-1」は、主にALEXA 35 Liveカメラ、ファイバーカメラアダプターとファイバーベースステーションで構成される。ファイバーベースステーションから、リモートコントロールパネルに接続し、いわゆるシェーダーがコントロールルームに設置され、カメラコントロールの色をコントロールできる。コントラストはすべてのカメラが一致するようにできる。

LPS-1ファイバーベースステーション

ALEXA 35 LiveのカメラヘッドはALEXA 35をベースにしたカメラで、ALEXA 35と全く同じハードウェアを使用し、全く同じセンサーを搭載している。スーパー35の4Kセンサーを搭載する。ALEXA 35は、17ストップのダイナミックレンジを実現する。映画から真のテレビシリーズやコマーシャル、さらにコンサートの撮影にも最適。非常にコントラストが高く、色鮮やかな照明を実現できるという。

サッカーの試合を撮影する場合、スタジアムの半分は太陽に照らされ、残りの半分は暗闇になることがある。従来型のカメラでは、それを撮影するのは非常に難しかったが、17ストップのダイナミックレンジがあれば、容易に対応可能としている。高感度も特徴で、わずかな光でもノイズを抑えて撮影が可能。これだけでも、従来の2/3インチの放送用カメラよりも素晴らしい映像が得られるという。

カラーアウトプットとして、ARRI Lookに対応。独自のARRI Lookを作ることができる。ライフプロダクションのための特別に開発したいくつかのARRI Lookも用意されている。楽しいトーク番組用、ゲーム番組用、ウィンタースポーツ用などがあり、現在、他にも制作中だという。

さらにALEXA 35とALEXA 35 Liveには、テクスチャという非常にユニークな機能を搭載する。標準でさまざまな画像スタイルを提供する8つのテクスチャが同梱されている。さらにALEXA 35 Liveでは、ライブプロダクション専用のテクスチャが5種類を追加している。この機能によって、ALEXA 35 Liveのカメラのシャープネスを、他のカメラのレベルに合わせることも可能としている。

ARRIブースのステージでは、ライブエンターテインメントの実演を実施。ファッションショーでは、ALEXA 35 Liveの画像特性、色彩、肌色、テクスチャー、ダイナミックレンジを紹介しつつ、TRINITY Liveや360 EVOの動きの実演。スポーツの例として、シャドーボクシングやダンスの実演も行われていた。

イメージング、ライティング、スタビライゼーションを総合的に提供する業界唯一のメーカーARRIだから実現できる、制作エコシステムや価値観を強くアピールした。