RED Digital Cinemaは、NAB 2024でV-RAPTOR [X] および V-RAPTOR XL [X] システムと最新の放送ソリューションを展示した。同社プロダクトマネージメント担当バイスプレジデント、ジェフ・グッドマン氏から話を聞くことができたので紹介しよう。
1つ目のハイライトは、グローバルシャッターセンサーを搭載したV-RAPTOR [X]およびV-RAPTOR XL [X]だ。2024年2月に発売を開始したREDのフラグシップモデルで、もっともハイスペックなダイナミックレンジを備えた製品である。
V-RAPTOR [X]はグローバルシャッター搭載を特徴し、かつダイナミックレンジはREDのラインナップの中でも最高スペックを実現した製品でもある。グローバルシャッター搭載による画質の劣化はないという。さらにハイフレームレートを実現も特徴としている。8Kで120フレーム/秒、4Kで240フレーム/秒、2Kで480フレーム/秒の高フレームレートの大判シネマカメラで、放送環境でも使用できるグローバルシャッターを備えている。
2つ目のハイライトは、NAB 2024で新しく発表したライブ放送用の「RED CINE-BROADCAST MODULE」とリアルタイムのカメラペイントとカラーマッチングを実現する「Broadcast Color」パイプラインだ。
放送局がシネマカメラを使いたいという案件が増えており、小さなニーズであっても放送局がシネマカメラをより簡単に使用できるようにする必要があったという。そこで、放送局のユーザーにREDのシネマカメラを使用しやすいように提供を開始したのが今回の光伝送モジュールやソフトウェアだとしている。モジュールを取り外せばシネマカメラとしても使うことが可能。非常にフレキシブルなシステムを実現しているという。
また、REDはシネマカメラメーカーであり、映画館での上映に焦点を当てている。そのシネマ用に開発されたグローバルシャッター大判センサーは放送市場でも大きなメリットがあり、高く評価されているという。
RED CINE-BROADCAST MODULEは、V-RAPTOR XL [X]、V-RAPTOR [X]、および標準の V-RAPTOR および V-RAPTOR XL カメラ システムと互換性がある。
このモジュールには、標準的な放送用ベースバンドだけではない。SMPTE ST 2110-22(JPEG XS)やRED Connectにも対応する。IPブロードキャスト、RED Connect、スタンダードベースバンドの3つの製品が1つの製品で対応できるところを大きなポイントとしている。このモジュールは、ラックマウント可能な2RUベースステーションに接続可能なLEMO SMPTE 311M/304Mハイブリッド光ファイバケーブルコネクタを備えている。
NAB 20243ではREDに対応する新型光伝送システム「SIRIUS」が発表されて話題だが、CINE-BROADCAST MODULEは最大8K、POLARISは最大4K、SIRIUSは最大2Kに対応する。また、IPとの互換性やXRヘッドセットの配信の品質という点では他社を上回る。RED ConnectのAIツール統合も特徴としているという。