このところ毎年新製品を投入しているARRIだが、今年も新たなカメラが登場した。加えてレンズや周辺機器もNABで発表されたものなどが出展された。ナックではその他にもAngenieuxやZEISSのレンズなどを出展した。

ARRIは、5パーフォレーション65mmシネフォーマットと同等なサイズのセンサーを搭載したデジタルシネマカメラALEXA 65を開発。会場ではそのカメラで撮影したデモリールの上映を行っていた。このカメラはレンタル専用とのことで、販売は行わないという。解像度は6560☓3120で、センサーサイズは54.12☓25.58mmとなっており、ダイナミックレンジは14ストップ以上となっている。65mmのフィルムカメラでは現像代やフイルムの価格から劇場用映画でも使われることは殆どないが、このカメラの出現によりそうした撮影も復活するかもしれない。また、ドーム型の競技場の天井に映像をプロジェクションするなどイベントでの利用も見込まれる。

アナモフィックレンズはシネマスコープなどアスペクト比が2〜3倍あるような劇場用映画の場合必需品となるが、本来丸くなるはずの光芒が縦長になるなど特有の現象を生ずる。そうした現象をなくすため、通常レンズ系の全面に位置するシリンドリカル型のレンズを後方に配置したレンズがAngenieuxから発売になった。また、左右方向に2倍以上画像を縮める(圧縮)するため、レンズの光学系に配置したシリンドリカルレンズの精度があまり良くない場合は左右方向の縮小が均等にいかないことがある。通常の撮影では問題がないが、VFXなどの精密な合成を行う場合は問題が生ずる。こうした問題を解決するレンズとしてARRI/ZEISSから新たに設計されたアナモフィックレンズを発売。また、広角レンズでは(特にズームレンズ)水平線や垂直の先が歪んでしまうが、そうした歪をなくしたズームレンズがAngenieuxから発売された。いずれも精密な合成がデジタル化により行えるようになったからこそ必要になったレンズといえよう。すでに通常のPLマウントレンズは安価な製品が出回っており、こうしたレンズとの差別化を図るため、技術力のあるレンズメーカーが仕掛けた作戦とも取れる。

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Angenieux Optimo Anamorphic 30-72mmT4。レンズ光学系の後部にアスペクト比を変換する光学系を配置しており、光芒が縦長に歪まないワイド系のレンズ

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ARRI/ZEISS Master Anamorphic。レンズ系中間部にアスペクト比を変える光学系を配置。精密なアスペクト比が得られる広角レンズ

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ARRI UWZ9.5-18T2.9。ワイドズームながらディストーションが極めて少ない。ただし円形などは画面位置によっては歪むようだ

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予めキャリブレーションを取ることで様々なレンズに対応したレンズリモートARRI WMC-4。本体にこうしたレンズ情報をプリセット可能なほか、ズーム位置やアイリスなどのレンズ情報をTCを基準としてSDカードに記録可能

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EFレンズ対応のARRI AMIRA用ビューファインダー。AMIRAでは本体からレンズの制御が可能なほか、アイリスなどの表示が可能

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4K対応のカメラARRI AMIRA UHD