ローランドブースの目玉の1つは、V-8HDの大型アップデートVer.2.02だ。Ver.2.02では、プリセットメモリー機能を拡張したマクロ、シーケンサー機能の追加や透明度を持たせたPNGファイルに対応、フレームレート追加など大幅なアップデートを実現している。

ソフトウェアを介したスイッチャーが増えてきた昨今、ローランドは頑なにハードウェアに拘り、ハードウェアで完結できる事に主眼を置いた製品を作り続けている。しかし、ソフトウェアに関して無頓着というわけではなく、あくまでハードウェアの拡張ツールとしてソフトウェアを位置付けていると思われる。そのコンセプトが良くわかる製品が「V-8HD」および「V-160HD」だろう。

V-8HDはシステムプログラムのVer.2.0をつい先日公開したばかりだが、Inter BEEの展示機器のバージョンはすでに2.02にアップデートされている。このアップデート自体はバグフィックスのためといわれているが、それでもローランドはハードウェア中心のメーカーだと認識していた人たちからすれば驚きのスピードだろう。

ローランドアップデート説明写真

しかし注目すべきはそこではなく、今回の大型アップデートで追加されたマクロおよびシーケンサー機能だ。マクロ機能はアップデート前にも機能として存在していたプリセットメモリー機能に時間軸を持たせた機能だ。

今までのプリセットメモリーでは、背景やPinP等の大きさや位置などを確定した状態で、ワンアクションで送出できるものだったが、マクロは時間軸に対して動作を割り当て可能となっているのだ。

また、シーケンサー機能は時間軸を持ったマクロを複数コントロールするもので、使用するマクロを選択しシーケンサーに登録し、その順番通りにマクロを実行するものだ。このマクロとシーケンサーの機能を使えば、スイッチャーでの演出の幅が格段に広がる機能となっている。

ローランドアップデート説明写真
ローランドアップデート説明写真

また、透明度を持たせたPNGファイルの読み込みが、USBメモリーなどで直接V-8HDに入力、記憶できるようになったのも大きなアップデートと言えるだろう。

これまでは、透明度を持たせたファイルをV-8HDに入力するためには、アルファチャンネル付きの素材を再生して、HDMIの入力から読み込ませなければならず、ひと手間二手間余分にかけなければならなかったわけだが、今回のアップデートでその手間と時間も軽減される。

このほかには、iPad専用コントロール・アプリ「V-8HD Remote」のVer.2.0.0 に対応。システムフレームレートに23.98Hz、24Hz、25Hz、29.97Hz、30Hzを追加、PRESET MEMORYの内容のみをUSBメモリに保存/読み込みする機能を追加など、待ち望んでいた機能や仕様を多数実現している。

ローランドアップデート説明写真

V-8HDの展示部ブースでは、ビデオ・インスタント・リプレーヤー「P-20HD」が並んで展示されている。スポーツ配信等では必須といえるリプレーヤーも、この機会に体験してみるのもよいだろう。