ファイルベース化で重要になるサポート製品
やはり今年のInter BEE 2008でのテーマは、テープレスやファイルベース化である。それらの対応への動きが大きいのがわかる。3日間を振り返り、Inter BEE 2008で目に留まったノンリニア編集サポート製品の概要を見ておこう。収録をサポートするディスクレコーダーやビデオ入出力カードや入出力デバイスなどの性能向上は、ファイルベースワークフローに対応するためには欠かせない要素となってきている。それに加えて、インジェスト、編集・フィニッシング、送出、アーカイブまで、ファイルの流れをスムースにするためにはメディア管理も重要になってきている。
ディスクレコーダー製品
ローランドがNAB Showで発表したビデオフィールドレコーダーF-1。国内メーカーということもあり、1年を通じて安定した人気となったようだ。まだテープレスカメラを投入していないキヤノン製カメラを使用して、ファイルベースへの移行を印象づけていた。また、ユーザーの要望を反映させる形で、SSD(ソリッドステートドライブ)ユニットも公開。近日発売する予定だ。
Inter BEEに初出展したのは秋葉原のLinuxシステムの販売・サポートを行うアミュレット。DVCPRO HD規格によるハイビジョン収録に対応したShinning Technologies製CitiDISK HDを出展した。以前からCitiDISKシリーズの販売・サポートをしてきたが、Linuxシステムで培ってきた検証・サポートを活用していることが安定した供給につながるという。Shinning TechnologiesがNAB Showで発表したSSD型も現在検証中で、近日発売予定。 報映産業が取り扱っているのは、FOCUS Enhancementsのディスクレコーダー。今回のInter BEEでは最新のFS-5を出展していたが、ブースの中での扱いは小さめ。メタ情報管理にも対応した製品であるだけに、残念だ。
ビデオ入出力製品
ビデオ入出力製品で大きなブースを構えたのは、ブラックマジックデザインだ。NAB Showで発表した3Gb/s SDIに対応した製品群を一堂に集めた。ビデオキャプチャ製品、コンバータ製品、ルーティングスイッチャーの全ラインアップを揃え、コンシューマからプロまで制作に欠かせない製品であることをアピールした。
AJA Video Systems製品を取り扱うアスクは、Mac環境で動作する非圧縮対応QuickTime I/OカードKONA 3の製品紹介と、アップルFinal Cut Studio 2と組み合わせたカラーグレーディング環境をアピールした。Final Cut Studio 2のColorによるカラーグレーディング処理のデモには、未だ参考書籍が少ないこともあり、多くの人が集まった。
非圧縮HDを扱えるBluefish444製カードを扱っているクレッセントは、住友商事マシネックスとカンバスの協同ブースに協賛し、Blu-ray Disc制作環境を構築した。Bluefish444を使用するソリューションDVDig HDでは、アドビ システムズの最新ビデオ制作スイートCS4 Production Premiumをバンドルすることも報告があった。
メディアマネジメント
ノンリニア製品におけるメディアマネジメントという意味では、各社ともメタ情報を扱いながらファイルベースワークフローへの対応を提案。しかし、それは単に制作の編集部分だけのマネジメントであることがほとんどだ。
ワークフロー全体のメディアマネジメント部分に、本格的に取り組み始めたのが朋栄だ。インジェスト、編集・フィニッシング、送出、アーカイブまで、放送局やプロダクションのワークフローに合わせてメディアマネジメント環境を構築しようとしているのが特徴。昨年のInter BEEでコンセプトを発表したMediaConcierge環境。今年は構成製品を実機投入している。MXFファイルとHD/SD-SDI信号の相互変換が可能なベースバンドコンバータを使用することで、従来のテープ環境をファイルベースにスムースに置き換える提案を始めている。 テープワークフローに配慮した取り組みが増えていくことによって、ファイルベース移行がよりスムースに行えるようになるに違いない。