短期集中連載シリーズ

短期集中連載シリーズ

1+1=1!?

またソニーが面白いカメラを発売した。それが「まめカムHD」ことHXR-MC1だ。 この”まめカム”と言う商品はすでに本機で3代目となる。今回よりHD収録(AVCHD)ができるようになった。先代のCCD-MC100が発売されてからすでに10数年の年月が経っているはずだが、人気は高い。しかしこのサイズのカメラは放送業務やセキュリティ用途で一部の機種しか販売されていなくて、手頃な価格での商品というのは存在しなかった。もちろん一部の外国製品で安価なチビカムがオークションやNETショッピングを中心に販売されているのは知っているが、試しに筆者も1台購入してみたがとても業務用途は元より、遊びで使うにもその画質は耐えられる物ではなかった。そんな状況で10年以上も前の販売なのに、CCD-MC100はまるで演歌歌手のように息の長い商品でもある。しかし地デジの登場と共にそのSD画質では満足できなくなって来たのも当然の事だ。そんな中に本機「まめカムHD」の登場となった。


*YouTubeでHDで表示をクリックしてご覧ください。

1×1=∞

mmc1.jpg

筆者も何回かCCD-MC100は利用した事がある。小さい筐体にはいろんな使い道の可能性がある事に魅力を感じ購入したいと思ったが、時すでに遅し!生産完了品となってしまったのだ。手に入れる事はできなかった。前記したオークションサイトでも当時は手放す人が少なかった為に、価格よりも出品物その物が少なかった位だ。そして今回のまめカムHDの発表は昨年の後半に耳にして、実機をInterBEEなどで確認し、即座に購入の意志が固まった程だ。まさしくソニーの術中にはまってしまった…。

ソニー製品の1stロットは手を出したくないのだが、今回だけは別と考え、割と早めにオーダーを出し、デモ機をお借りする前に自前カメラが来てしまったところだ。前機であるCCD-MC100もその大きさが全ての武器と考えていたために、さほど機能には目がいっていなかった。今回も同様で、まめカムHDは価格自体もCCD-MC100の倍以上するのに、その分の機能を考えればもの凄く安い。

至れり尽くせり

mmc2.jpg

まず今回の一番の目玉はHDと言う事ではなく(もちろんそれも大事だが)メモリースティックPRO Duoに録画できるという事に尽きる。そしてそのカメラヘッド部のコントロールがズーム操作は元より、排他的な設定にはなるが、フォーカスやアイリスまでもがダイヤルコントロールできるという事だ。

CCD-MC100はこの辺のコントロールが全くできないため、条件が悪いところではフォーカスやアイリスが逃げて、せっかくの映像が使えない事もしばしばだった。

本機はさすがに業務用途を謳っているだけあり、その辺の操作性は十分に考えて発売したように感じた。そしてカメラヘッド部分は写真で見てもわかるとおり、その大きさは容易に想像できるだろう。レコーダー部は、実機を見ていない人には若干想像しにくいかもしれないが、はっきり言って”小さい”の一言に尽きる。今の時期なら上着のポケットにも収納できてしまうはずだ。これを見て思ったのがTG-1との比較である。前にTG-1を長期貸し出し中に感じていた事に「このカメラがヘッド部分が分離できたら面白いだろうなぁ」って思っていたのが、まったくそのままの形で出てきのだからこれはもうソニーにリスペクトなのである。気になる画質はTG-1と殆ど同じと言って良いだろう。晴天下ではHDの解像度のすばらしさを体験できるが、夜や暗部ではやはりf値の低さと撮像板の小ささから来る若干のノイズ感はしょうがないかなと言うレベルだ。

総評

mmc4.jpg

まずは、きっちり使い込まないとその方向性すら見えないガジェットと言う印象が強い。何にでも使えそうだが、それにはさまざまな補記類が必要になってくる。しかし、ソニーのインフォメーションにもその様な物はない。つまりは創意工夫して、このカメラを保持する部分を用意しなければならないという事だろう。取り敢えず筆者的にはクリップベースの強力なクランプベースを2個手に入れた。後はお馴染みのアルミからの各種ステーの削りだし、MTBのハンドル部分に固定するステーの製作をしてみた。しかし色々構想していくと、これ位ではまだまだ足りそうにないが、暫くはこれで様子を見ようと思っている。

別売りのアクセサリーキット「ACC-H1BP」の購入は、価格と内容を考えるとお勧めできる物だ。付属の×0.7ワイコンの他に、車内でもMOD不足用に×0.5ワイコン(セミフィッシュアイ)も手に入れる事をお勧めする。

準備が整ったところで、これから数回にわけて魅惑のまめカム・レビューをお送りしたいと思う。

岡 英史(VIDEONETWORK)

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。