去る、6月9日から11日の3日間、千葉幕張メッセにおいて、IMC Tokyo2010が開催された。IMC Tokyo は、1994年から開催されたInterop Tokyo(スタート当時はNetWorld+Interop Tokyo、2005年からInteropに)の同時開催イベントとして2006年からスタートし、今年で5回目の開催となる。当初は通信と映像の融合を旗印とし、デジタルシネマなどデジタルメディア時代の潮流を捉えることを目的としており、2008年には映画テレビ技術展との融合を果たし現在に至っている。
また、販促・広告・情報発信に新たな価値を創出することが期待されるデジタルサイネージに特化したデジタルサイネージ・ジャパンも昨年から同時開催していている(本年で開催2回目)。これらは、単にIT技術の最先端を目指したInterop Tokyoだけでなく、その応用分野での効果的な活用を検証する総合イベントとしての同時開催であり、今年は変革が進むモバイルビジネスにフォーカスするMobile&Wireless Tokyoや、環境エネルギー分野で注目を集める次世代電力網スマートグリッドにITの視点からアプローチするスマートグリッド・ジャパンをプレビューイベントとしてカンファレンスを中心に開催した。
いずれも展示会だけではなく、各界のキーマンによるカンファレンスが充実したイベントが特徴といえ、3D・立体映像は普及するのか!?、デジタルテレビ向けクラウドサービス、2011年、地デジ完全移行でCMに何が起こるのか?などの専門カンファレンスのほか、ケータイからテレビへHTML5がもたらす変化とW3Cやソニーの3D戦略といった基調講演が開催された。
今回のIMC Tokyo2010は、カメラや編集システムと言った制作システムの出展はなかったが、Interop Tokyoとの併催ということもあり、IT伝送系や映像ファイル管理などの出展が目に付く展示となっていた。
ニコン
ニコンというとカメラのイメージが大きいが、まだフィルムカメラが全盛期のころ撮影したフィルムをスキャニングし画像伝送を行うシステムを新聞社などの報道機関向けに開発していた。その流れで各種画像解析やツールが開発され、H.264解析ツールや映像エラー検出装置などを出展していた。
分析的画像評価ツールVQ-1200。AVIやMOV、MPEGといった動画像のぼやけやブロック歪、ノイズなどを評価・分析するためのツール。 コンテンツチェッカーVQ-500。映像や音声の乱れを自動検知し、発生時間やエラー内容などを一覧表示できる。エラーのサムネール表示、音声波形表示、プレビューなどを行うことが可能。 映像エラー検出装置(参考出品)ブロック歪やブラックアウト、フリーズなどの異常をリアルタイムの検知し、管理ソフトによりエラーのメール通知やエラー箇所の確認などを行うことが可能。HD/SD-SDI入力に対応している。イメージニクス・ビデオトロン
ビデオトロンは2009年からイメージニクスと業務提携を行っていることから、共同でブースを出している。イメージニクスは業務用の映像機器メーカーとして最大手として知られており、カラースーパーなど放送局向けの映像機器を開発しているビデオトロンとうまく補完関係を築いているようだ。
パソコンのモニターでSDI信号をモニターできるHD/SD-SDI入力DVI出力のコンバーターCRO-SDC2と伝送時のハムノイズを低減するラインレシーバーCRO-VLR5。6月、5月発売の新製品 7月発売予定のHDCP対応DVIマトリックススイッチャーDVAX-72。音声はエンベデッドデジタルのほか、アナログに対応している。 3GのSDIに対応したフォーマットコンバーターMFC-90。3G-SDI、HD/SD-SDI、DVI-Dの相互変換が可能。ミハル通信機
CATV用の伝送システムを幅広く手がけるミハル通信機は、CATVセンターシステムや光伝送システムなど映像伝送に欠かせない基幹システムを出展した。
競馬場や競輪場などの競技場向けの映像配信システム。HDエンコーダーやOFDM変調器、TS-IP変換装置(参考展示)などから構成されており、オッズや着順、競技映像などを総合管理、送出できる エリアワンセグ送出システム。イベントなど限られた範囲でワンセグ送信するシステムで、3月に福井駅前で試験放送されたイベントで採用されたシステムを紹介。OPHIT・ヒビノ
ヒビノは、映像伝送に欠かせない光ファイバー伝送システムや分配器、スイッチャー、各種コンバーターなどを出展。
スイッチャー機能付メディアプレーヤー、光ファイバー伝送機能付ビデオコンバーターなど HDMI伝送システム。HDMI光延長システムやDisplayPort光伝送システムなど。アイホン
インターホン技術とIP技術を融合させたIPネットワーク対応テレビドアホンシステムを出展。
ネットワークを介してカメラ付子機の映像確認、通話、録画再生や電気錠の解錠操作などが可能なので、遠隔地における夜間の来訪者対応を一元管理することが可能。アイティアクセス
自動検査ソフトウェア、AVストリームのオフライン解析ソフトウェア、フルリファレンス型の映像品質評価ソフトウェアなど、テープレス化の流れに必要不可欠なコンテンツ解析・品質検査のソフトウェアソリューションなどを出展。
デジタルメディアコンテンツ自動検査システムBATON。サーバーに蓄積されたファイルをネットワーク接続したBATONでチェックすることが可能。 ビデオ、オーディオストリームをオフラインで解析するツールVega H.264/VC1アナライザー。日本テレビ放送網
地上デジタル放送の場合、中継先への送り返しとして地上デジタル放送波を使用すると遅延が発生し、生放送などでは支障をきたしてしまう。このシステムはインターネットを利用することで、送り返しの遅延を最小限に(約0.1秒)にすることが可能。5月より出荷が開始されている。 アルビクス社の低遅延エンコーダーLD-110E/デコーダーLD-110Dを利用したハードウェア仕様の低遅延送り返しシステムイマジカデジックス・フォトロン
大容量データを高速かつ安全に転送・共有するASPサービスやソフトウェアエンコーダーGrabNetowrks社Anystream Agilityなどのほか、フォトロンと共同でデジタルメディアディストリビューションシステムSIGNIANTを出展。
So-air (ソーエア)は、独自の技術で情報漏えいを防ぎながら高速転送することを可能なファイル転送&共有システムで、Webブラウザーでデータを任意の場所からアップロード・ダウンロードすることが可能。 ソフトウェアエンコーダーAnystreamAgility2G。ノンリニア編集システム、送出サーバー、ストリーミング、Webサーバーなどの間で、コンテンツの変換ややり取りを自動的に行うことができる。 デジタルメディアの転送マネジメントやオートメーション化などを行うことができるSIGNIANT。Webベースのインターフェースで、ファイルの送受信や収集、複数拠点への転送が高速かつ安全に行うことが可能。W3C/Keio(慶應義塾大学 SFC研究所)
ウェブの進化が実現する新しいメディア・サービス・デバイスの世界と題し、HTML5やセマンティックウェブ技術、MMI (Multimodal Interaction)技術など、国際標準化団体である W3C(World Wide Consortium)として、ウェブ標準技術や新たなサービスなどを展示。
HTML5が拓く新たなウェブの可能性、HTML5アプリに最適なアーキテクチャをさぐる、ソーシャルサービスを加速するWebSocketなどのセッションやミニプレゼンテーションが行われた。