本稿は、PRN magazine Vol.10に掲載されたものを加筆再編集

今また新たに刻まれるライカの新しい歴史

ライカファンのロイヤリティーは高く、その佇まいはハイファッションのブランドに似ている。カメラメーカーの中でも稀有な存在だ。2018年6月15日、ライカのシネレンズを扱う「Ernst Leitz Wetzlar GmbH(以下:Leitz)」が誕生した。Ernst Leitz(エルンスト・ライツ)と創業時の立役者ライツの名前が並ぶ。これまで幾度と名前の復活が叫ばれたが実現にはならなかった。

ライカカメラAG社主のDr.Andreas Kaufmann

Leitz社の誕生は、2008年にライカカメラAGの姉妹会社「CW SONDEROPTIC」としてライカブランドのシネレンズの設計、製造、販売を行う会社として設立された。当初は事業に懐疑的なとこがあったものの、ライカカメラAG社主のDr.Andreas Kaufmannの手腕により設立10年間で大きく業績を残してきたこともあり、今回長らく使用が止められていた「Ernst Leitz Wetzlar 」という名跡を継ぐこととなった。

Leitzのリブランディングは、シネレンズ分野における成長への新たなコミットメントを示しています。1世紀以上前にライカを創り出したエルンスト・ライツ氏への敬意を表しています。 80年代後半までライカ全レンズは「Ernst Leitz Wetzlar」という刻印がされていました。我々の新社名の持つ偉大さを深く受け止めたいと思います。

と同社マネージングディレクターGerhard Baier氏は語った。

Leitz-Park(ライツパーク)に臨むライカのカタチ

Leitz社が位置するのは、フランクフルトから1時間ほどのヘッセン州ウェッツラー(Wetzlar)にある。2014年、100周年を記念し、Leica新本社ビルが今週、同社創業の地Wetzlarに移転し、今年2018年の6月ホテルと美術館がオープンし、まさに「Park」としての完成を遂げた。その中にシネレンズ部門「Ernst Leitz Wetzlar」社屋は存在する。本社と道を挟んで今回新たに完成したエリアは、すべてライカの新規に挑戦する部門が勢揃いしている。ホテル、カンファレンスとセミナー、そして時計部門とDr.Andreas Kaufmann主導で行われている。

映画と写真35mmフィルムをつなぐ鍵

そもそもカメラの原型となった35mmカメラの所以は、映画35mmフィルムが使用して作られたことに起因する。そう元々Leitzも映画とも関連深いのだ。オスカー・バルナックが映画撮影用のフィルム感度チェックを目的に用に作られた機初号機「Ur-Leica(ウル・ライカ)だ。このときはまだスチルカメラとして商品化することも未決定だった。

そのUr-Leicaで撮影を行なった場所がある。ライカ100周年を記念して、その撮影ポイントにライカカメラAGによる解説入りの看板が設置された。Ur-LeicaがLeica Iとして市販品第一号が生まれ、その後の35mmフィルムカメラの歴史が始まることになる。そして現在Leitz Cineが始動する。

Leitzは、2020年を目処に18mm-180mmをカバーするプライムレンズ12本と25-75mm、55-125mmズーム2本のリリースを予定している。Leitzの最高傑作であり今まで培ったノウハウをフル活用した次世代レンズになるであろう。プライムレンズの想定価格は、4万2千ユーロ、ズームは4万5千ユーロを予定しており、過去最高値となるラインアップとなる。Leitz Cineに目が離せないのだ。

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