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Hollylandは、ワイヤレスマイクロフォン「LARK A1」を2025年5月27日に発表した。

カラーはスペースグレー。パッケージは3種類が用意されており、価格は下記の通り(いずれも税込、メーカー希望小売価格)。

  • Combo(USB-C RX + Lightning RX + Charging Case):9,900円
  • Duo(USB-C RX + Charging Case):6,600円
  • Mini Duo(USB-C RX):5,882円
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発表に先立ち、Comboパッケージ(2つの送信機、USB-Cタイプの受信機、Lightningタイプの受信機、チャージングケースなどを含むセット)に触れる機会を得た。

Lark C1との違いを中心に、外へ持ち出してのフィールドテストを行った感想もあわせて、新しく発表されたLARK A1をご紹介したい。

なお、機能や仕様については執筆時点の情報に基づくものであり、今後ファームウェアアップデートなどにより変更される可能性があることを、あらかじめご了承いただきたい。

送受信機すべて収納しても持ち運びが苦にならない「チャージングケース」

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LARK A1の「チャージングケース」は、2つの送信機を2回以上フル充電することができる。バッテリー容量は460mAh。

Comboパッケージに付属するチャージングケースの重さは65gほどで、2つの送信機と、USB-CタイプおよびLightningタイプの受信機を一緒に収納することができる。

Comboパッケージのチャージングケースに2つの送信機と2つの受信機をすべて収めた状態でも、重さは90gほど

※手持ちのデジタルスケールで簡易的に重さを測定

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Lark C1(3回のフル充電が可能、バッテリー容量1400mAh、重さ約85.5g)と比べると、LARK A1のチャージングケースはバッグに忍ばせて持ち運ぶ際の取り回しやすさが高まっている。

なお、Duoパッケージに付属するチャージングケースは、2つの送信機とUSB-Cタイプの受信機を一緒に収めることができる。

また、Mini Duoパッケージには、チャージングケースの代わりに「チャージングドック」が付属する。

チャージングドックは内蔵バッテリーを持たない充電専用の台座であり、付属のUSB-A to USB-Cケーブルなどを用いて、2つの送信機を充電するかたちとなる。

「受信機」スマートフォンに装着しても目立ちにくく

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LARK A1の受信機(34×16.3×9mm、重さ約5.9g)は、Lark C1(48.3×27.6×9mm、重さ約7g)よりも縦横ともに一回り小さくなっている。

デザイン自体は大きく変わっていないが、よりコンパクトとなったLARK A1の受信機は、スマートフォンに装着しても目立ちにくい。

受信機をスマートフォンへ挿した状態でも、受信機側面の充電端子にケーブルを接続することで、LARK A1を使用しながらスマートフォンへの給電を同時に行うことができる。

受信機のボタン操作によって、以下のような機能が切り替え可能である。

  • 1回押すと、ノイズキャンセリングのオン/オフを切り替え
  • 2回押すと、送信機1のミュートのオン/オフを切り替え
  • 3回押すと、送信機2のミュートのオン/オフを切り替え
  • 3秒間長押しすると、ペアリングモードに移行

「送信機」小さなキャンディーバーをつまむような感覚の小ささ

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過去に発売されたHollylandのLark C1(2022年10月発売)とLark M1(2022年7月発売)の送信機は「縦長デザインのスティック型」であり、LARK M2(2024年1月発売)およびLARK M2S(2025年1月発売)は「ボタンのような丸型の形状」であった。

今回のLARK A1の送信機(30×16.3×8.8mm、重さ約8g、バッテリー容量65mAh)をどちらかに分類するならば、前者の「スティック型」だが、送信機をチャージングケースから取り出すと、成人男性の中指の第一関節ほどの大きさで「小さなキャンディーバーをつまむ」ような感覚だ。

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Lark C1(48×21.5×10mm、重さ約11.5g、バッテリー容量140mAh)と比べ、LARK A1の送信機は大幅なサイズダウンとなり、非常にコンパクトになっている。

稼働時間は約9時間であり、Lark C1(約8時間)よりも1時間ほど延びている。また、サンプリングレートは48kHz、ビット深度は24bit(Lark C1は48kHz/16bit)となっている。

送信機のボタン操作は、以下のように割り当てられている。

  • 1回押すと、ノイズキャンセリングのオン/オフの切り替え
  • 2回押すと、ミュートのオン/オフの切り替え
  • 3回押すと、録音の開始/停止の切り替え
  • 3秒間長押しで、送信機の電源オン/オフ
  • 電源オフの状態で6秒間長押しすると、ペアリングモードに移行

送信機の装着は「マグネット」のみ

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Lark C1と比べ、LARK A1は送信機を衣服へ装着したときの目立ちやすさがかなり改善されている。

一方で、LARK A1の惜しい点は、装着の手段が「マグネットのみ」となっていること。

LARK M2のように、付属の「マグネット(=クリップマグネット)」または「クリップ(=バッククリップ)」をシーンに応じて選ぶことはできない。

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LARK A1に付属するマグネットは磁力が強めであるため、ワイシャツのような薄手の衣類であれば、大きな力が加わらない限り、送信機とマグネットが簡単に外れることはなさそう。

ただし、本体が小型であるため、落下への注意は常に必要。特に厚手の服に装着した場合には、やや心許ない印象がある(LARK M2の「バッククリップ」のようなパーツがLARK A1でも別売で選択できると良いのかもしれない)。

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また、このマグネットは装着だけでなく、送信機をチャージングケースへ戻す際にも重要な役割を担っている。

送信機とチャージングケースのそれぞれにある充電接点が正しく接触するよう、マグネットの磁力によって「カチッ」と収まるよう設計されている。このマグネットがない場合、接点がずれてうまく充電できなくなることが想定される。

そのため、送信機本体とあわせて、マグネットの紛失にも注意が必要である。

動きのある撮影で注意したいポイント

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LARK A1の到達距離は、見通しの良い環境で最大200m。この数値はLark C1と同様である。一方で、LARK A1の仕様表には非見通し時の距離についての記載はないが、Lark C1と同様に最大で約40mと考えられる。

フィールドテストでは、送信機と受信機が互いに向かい合った状態では、おおむね130m程度の離れた距離でも音声を受信することができた。

ただ、受信機を背にして歩行するなど、身体によって送信機との間が遮られる状況では、40mほどの距離で音声が断続的に途切れる印象を受ける。

LARK M2やM2Sでも、付属しているカメラバージョンの受信機とモバイルバージョンの受信機を比べると、モバイルバージョンの受信機のほうが非見通し環境での通信距離はもともと短い。

こうした点はLARK A1に限らず、多くのモバイル向け受信機に共通する傾向でもある。特に、日常的な撮影や簡易なレポート収録など、被写体とスマートフォンが近距離で向き合うようなシーンでは、大きな問題になることは少ない。

もし、混み合った人の中を被写体が通り抜けてゆき、その後ろをスマートフォンで追いかけるような撮影シーンがあるなら、両者の距離は開きすぎないよう注意が必要かもしれない。

ノイズキャンセリング機能で気になること

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LARK A1は8gという送信機の軽さと小型化を最優先した設計でありながら、スマートフォンでの動画撮影や簡易なインタビュー用途では、必要十分な性能を備えていると感じる。

ただ、これは個人的な好みによるものかもしれないが、ノイズキャンセリングを"オン"にしたときの音質は若干の違和感が生じる。

ノイズを抑える性能自体は十分であるものの、話し手の声がやや鼻にかかったように聞こえ、LARK MAXやLARK M2のノイズキャンセリング機能に比べて、声本来の自然さが損なわれているように感じられる。

私が行ったフィールドテストは、プロペラ機がすぐ近くを離着陸するような、非常に大きな環境ノイズ下で実施している。

環境が異なれば結果も変わる可能性があるが、LARK A1でノイズキャンセリング機能を活用したいときは、その効果をあらかじめ確認し、オンにするか、オフにするかを判断したほうがよいだろう。

なお、LARK A1のノイズキャンセリングの強度はLark Soundアプリ(後述)で「Low」「Medium」「High」の3段階で設定が可能。ノイズキャンセリング機能をオンにする場合は、そのときの環境(=ノイズ状況)を見つつ、好みの強度を選ぶとよさそう。

Lark Soundアプリで「EQ Adjustment」「Reverb Adjustment」の設定が可能に

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Lark C1と同様、LARK A1はApp StoreやGoogle Playで公開されているiOS/iPadOS、Android OS対応の「Lark Sound」アプリでの設定が可能である。

設定できる項目はLark C1よりも増えており、LARK M2Sに搭載されていた、

  • NC Level(ノイズキャンセリング)
  • Volume Adjustment(入力感度/ゲイン調整)
  • Channel Mode(チャンネルモード)
  • Schedule Power Off(自動電源オフ)

のほか、

  • EQ Adjustment(イコライザー)
  • Reverb Adjustment(残響設定)
  • Mic Identification(マイク識別)
  • Indicator Light Switch(インジケーター表示)

といった設定も行うことができるようになった。

デフォルトの設定のままでも使用に大きな支障はないが、あらかじめLARK A1をスマートフォンへ接続した上でアプリを起動し、好みに応じて設定を変更しておくとよいだろう。

ファームウェアアップデートも、このアプリを通じて実行される。

※Lark Soundで設定が可能な項目は下記の通り

  • (1) NC Level
    オンにすると「Low」「Medium」「High」の3段階の設定が可能(デフォルトは「High」)。ノイズキャンセリングのオン/オフは、送信機または受信機のボタンを1回押すことで切り替えることができる。
  • (2)Volume adjustment
    「1〜6」の6段階から設定が可能(デフォルトは「5」)。
  • (3) Channel Mode
    「Mono」「Stereo」の設定が可能(デフォルトは「Mono」)。「Stereo」を選択するとLチャンネルにMic 1、RチャンネルにMic 2からの音声を入力することができる。
  • (4))EQ Adjustment
    「Equalization」「Low」「Bright」の3種を選択可能(デフォルトは「Equalization」)。
  • (5) Reverb Adjustment
    「Small」「Medium」「Large」の3種を選択可能(デフォルトは「OFF」)。リバーブを有効にしたい場合は、手動での設定が必要となる。
  • (6)Mic Identification
    「オン」にすると(かつ、ノイズキャンセリングがオフのとき)、送信機と受信機のインジケーターライトが「ピンク」または「イエロー」に変わり、どちらが送信機1で、どちらが送信機2なのかを識別できる。
  • (7) Schedule power off
    「15min」「Never」の2種を選択可能(デフォルトは「15min」)。受信機と送信機がペアリングされていないときに、自動的に電源がオフになる。
  • (8) Indicator Light Switch
    送信機と受信機のインジケーターライトを「オフ」にすることができる。特に、装着中の送信機のインジケーターライトが気になる場合に、この設定をオフにすることで対処が可能である。

おわりに

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LARK A1は、これまでのLark C1と同様に「スマートフォンで手軽に使えるワイヤレスマイク」としての立ち位置を受け継ぎながら、仕様面や機能面でいくつかの進化を遂げたモデルである。

送信機と受信機のサイズはコンパクトになり、服に装着しても、スマホにつなげても目立ちにくくなったのは一番のポイント。

一方で、装着方法がマグネット固定のみとなった点は残念だが、とはいえ、税込9,900円の「Combo」パッケージをはじめとした価格設定は、同種の製品と比較しても抑えられている。

これからスマートフォンでの動画撮影を始めたい人やビギナー、荷物をできるだけ軽くしたいフィールド取材、日常的なVlog制作などを目的とする人にとって、非常に扱いやすく導入しやすい選択肢といえる。

WRITER PROFILE

ノダタケオ

ノダタケオ

ライブメディアクリエイター。スマホから業務機器(Tricasterなど)までライブ配信とウェビナーの現場を10年以上こなす。