日本電信電話株式会社は、一般に普及している光ブロードバンドの帯域で、HDTVクラスの高解像度でリアルタイムかつ双方向に映像伝送を実現する双方向低遅延H.264準拠HDTVリアルタイム並列ソフトウェアコーデックを世界で初めて開発、一般に公開している。
NTTが開発したコーディックの開発コード名は、RISCA264-HD(リスカ ニーロクヨン?エイチディ):Real-time and Interactive Software-based Codec Architecture for H.264-HDTV。
高速なエンコーダ/デコーダエンジンと、IPパケット送信/受信エンジンから構成され、フルHD(1920×1080ピクセル)でテレビ放送並の毎秒30フレームの映像伝送を遅延0.2秒以下で実現、これによりテレビ電話で自然な会話が可能となった。また、パケットロスによる映像や音声の劣化を抑制するため、独自のフレーム抑制法を実装した。これにより、帯域が保証されないIPネットワークサービスでも、高品質でスムーズな双方向コミュニケーションを実現することができる、という。
エンジンは、マルチコアCPUの性能向上に適応可能にするため、従来のストライプ並列エンコーディング方式をマルチスレッドマッピングへ変え、画質と演算量のトレードオフを最適化し、毎秒30フレームのリアルタイムコーデック処理を実現した。さらにIPパケット送信/受信処理の高速化とパケット送受信法の最適化により、毎秒10から15メガビットの通信速度で双方向映像伝送を可能とした。
今回発表されたRISCA264-HDは、NTTのサイバースペース研究所で開発した映像符号化技術をソフトウェアに展開したもの。前身となる技術「RISCA」は、NTTレゾナントが「WarpVision」として2003年に商用化しており、この新技術の商用化も検討されている。RISCA264-HDは、6月11日から13日まで幕張メッセで開催されるINTEROP TOKYO 2008で公開されている。