東宝は、世田谷区砧にある東宝スタジオの第2次改造計画として、新ポストプロダクションセンターなど50億円の投資をして建設する。着工は今年6月。
同社は2004年「東宝スタジオ改造計画」と称し、第1次には50億円をかけて撮影ステージ6棟、アクターズセンター(キャストルーム&レストラン棟)・プロダクションセンター(スタッフルーム棟)など、付帯施設6棟を建設。2008年は40本近い映画・テレビ、150本に及ぶCMが東宝スタジオで製作・撮影されている。しかしダビングステージはスタジオ内にひとつしかないため、こなせる数に制限があった。
東宝スタジオでは、より多くの業務受注をこなすため、ハリウッドのメジャースタジオ各社のポストプロダクションを参考に、スタジオ内の一角にポストプロダクションセンターを新設。同時に従来からあるポストプロダクションセンターもリニューアルして、「2ダビングステージ体制」を取ることにした。新センターには、ダビングステージをはじめ、ADR(アフレコ)ステージ、フォーリー(効果音)ステージ、編集室、試写室が揃う予定。1937年竣工で老朽化が進んでいるNo.5・6ステージも建て替えられる。第2次改造が終了すると、東宝スタジオの撮影ステージは「全10ステージ」の体制となるという。
この建設は、米ワーナーブラザースの協力を取得、またハリウッドのほとんどのメジャースタジオを手がけるスタジオ音響のスペシャリスト、チャールズ・M・ソルター・アソシエイツ,Inc.に音響デザインを依頼した。完成時期は2011年。投資額は第1次と合わせると100億円に上る大型改修になる。さらに、東宝スタジオ内には早稲田大学の拠点研究室「映像研究室」が設置され、映画・映像業界の人材育成の場として、早稲田大学 大学院生を対象としたインターンシップに協力していくという。
同社は、デジタルシネマの制作手法を開発する研究プロジェクトとして、早稲田大学が開発、運用する大容量閉域ネットワークを利用して、都内の主要ポストプロダクション・現像所を結びつけるネットワークを構築した。既にこのシステムを活用して「西遊記」「隠し砦の三悪人」「ザ・マジックアワー」「私は貝になりたい」などの作品が製作されたという。