NVIDIA社はSIGGRAPH2010において、パラマウント・ピクチャー配給の最新映画「エアベンダー」(2010年7月2日より国内劇場公開)で、CGIプロダクションのIndustrial Light &Magic(ILM)が制作した驚愕の戦闘ビジュアルエフェクトに、NVIDIA Quadroプロフェッショナル・グラフィックス技術が採用されたことを発表した。
ILMは、NVIDIA Quadro GPUパワーを使い、巨大な火の玉、渦巻く雲、砂塵嵐で、10~15倍の高速シミュレーションを実現した。「エアベンダー」に登場するキャラクターは、火、気、水、土の4つの古代エレメントを操る能力を持ち、これらは戦闘中に武器として使用される。本作では、火の玉、渦巻く水、土の壁、圧倒的な衝撃波といったビジュアルエフェクトシーンが485個登場するという。
ILMではこれらビジュアルエフェクトのシーケンスを、内製のPlumeというGPUベースの流体シミュレーションを核に生成した。Plumeはもともと、火のレンダリングを得意とするシミュレーターだったが、柔軟性に優れているため、気を操る力や海の霧、煙、渦巻く雲の制作にも活用されている。ILMは、NVIDIA CUDAアーキテクチャ採用のNVIDIA Quadro FX 5800プロフェッショナル・グラフィックス・ソリューションを搭載した12機のGPUベースのレンダーファーム上で、シミュレーション・レンダラーを実行し、Plumeによる大幅な速度向上を実現したという。
ILMが「エアベンダー」のビジュアルエフェクト制作で採用したツールは、mental imagesのmental ray、PixarのRenderman(レンダリング用)、Autodesk Maya(アニメーション用)、The FoundryのNuke(合成用)、専用ツールのZenoとSaber(OG・エフェクト制作用)。ILMでは、今後のプロジェクト・パイプラインにNVIDIA CUDAアーキテクチャ・ベースのツールを追加採用する計画であり、GPUアクセラレーションによるレンダリングをビジュアルエフェクトのワークフローに採用する新たな方法を模索しているという。