Facebook創業秘話を描いた、デビッド・フィンチャー監督の最新作品「ソーシャル・ネットワーク」の制作では、RED Digital Cinema社製のCMOSセンサーMysterium-X搭載RED ONEカメラが撮影で使われ、ユニークなDI環境で制作された。

作品制作に携わった米カリフォルニア・ロスアンジェルスに拠点をおくLIGHTIRON Digitalプロダクションでは、Digital Intermediate(DI)からディストリビューションまでフルデジタルで展開できるよう4Kと2Kコンテンツを扱えるワークフローを独自に構築したという。

同作品は、RED ONEで撮影した4Kコンテンツのほかの外部2Kコンテンツを、テープレスで尚且つシームレスで扱わなければならない環境が必須となった。フィンチャー監督と担当したシネマトグラファーが撮影したRED ONEファイルは、まずRED RocketアクセラレーションでApple ProResにニア・リアルタイムで変換され、その後2K DPXへとコンフォームされ、LIGHTIRONのカラリストによりQuantel製4Kカラーグレーディング編集システム「Pablo」で最終的なカラーコレクションや編集が施された。

最終ポストワークは、ハリウッドにあるレッド・スタジオのサウンドステージに仮設置されたDIシアターで行われた。サウンドステージには、公共の映画館と同じ環境を作り出すためにLIGHTIRONから運ばれたソニー製のT420 4Kデジタルプロジェクターと約18メートル長さのスクリーンが置かれた。この特別にサウンドステージに設けたDIシアターにPabloやストレージデバイスが台車で積み込まれ、さまざまなバージョンの1000以上のビジュアルエフェクトのショットが編集された。

PabloはR3DファイルやAAFファイルをネイティブに対応できるため、中間にフォーマットを変換する手間が省ける上に、編集データを残したまま取り込むことができる。これらの特徴は、今回のDIワークフローに非常に便宜を与えたという。

なお、「ソーシャル・ネットワーク」は2010年10月1日より一般公開され、北米映画興行収入では2週連続首位を獲得している。日本での公開は2011年1月15日となっている。