米FOXや米NBCといった米国放送局12社が設立したジョイント・ベンチャーのモバイルコンテンツ・ベンチャー(MCV)は米国時間11月19日に、Designated Market Area(DMA:ニールセン・メディア・リサーチ社が視聴率などマーケット調査に使用するエリア区分)の20区分に所属する放送局が2011年末までにライブ映像をモバイル端末へ配信するという声明を発表した。

2011年後半までに米国人口の40%以上へ、このモバイルビデオサービスを提供するという。無料で視聴できる2チャンネル程度でサービスを開始し、後に有料チャンネルを追加していくとしている。MCVでは2011年内に、ニューヨークを始め、ロスアンジェルス、シカゴ、フィラデルフィア、サンフランシスコといったDMAの20地区でサービス開始を予定している。

「中継やローカル番組は、モバイルビデオサービスで重要なコンテンツとなる。また主要放送局でモバイル放送サービスを開始させることがこの市場を現実化することにおいて重要な第一歩」、とMCVのゼネラルマネージャーの一人、サリル・ダルヴィ氏は述べている。

視聴者側は、このモバイルビデオサービスを利用するには、携帯電話や車内のナビゲーションシステムなど、モバイルビデオを受信できるデバイスが必要となる。MCVは2011年の中旬にはデバイスが市場に出そろうよう、様々なOEMやデバイスベンダーと話を進めているという。

米マーケットリサーチ会社のIn-Stat社によれば、米国モバイルDTV市場はこの数年で大きく成長し、2014年までに3000万以上のATSC-M/Hモバイル向けDTV規格対応デバイスが市場に出回るとしている。MVCが斡旋しているモバイルビデオサービスは、米連邦通信委員会(FCC)の全米ブロードバンド・イニシアチブの補足ともなっており、放送周波数帯域を使うことでワイヤレス3Gや4G経由よりも安定した映像を配信できるとしている。