米Appleは、先日発表した新しいデジタルメディアストレージプラットフォーム「iCloud」によって新たな訴訟問題を抱えることになった。
アリゾナ州フェニックスに本拠を置くVoIPプロバイダーのiCloud Communicationsは、米国時間6月9日、Appleが同社の名称を使ったことで消費者に混乱を引き起こしているとして、名称使用の中止などを求めてアリゾナ州の連邦地方裁判所にAppleを提訴した。持ち込まれた書類によると、iCloud Communicationsは2005年に設立されて以来、このブランド名に自負があり、Appleがこの商標を使うことによりApple側のiCloudブランド名が市場に定着し、同社の今後の営業活動に支障が出ると訴えている。
また、「Apple(対:ザ・ビートルズ)」「iPhone(対:シスコ・システムズ)」「Might Mouse(対:Terrytown)」などの名称の使用で訴えられた過去の例を挙げ、「Appleは他社の商標を故意に踏みにじるような行為を繰り返し行っている」と主張、金銭的な賠償とともに、Appleに対するiCloudの名称使用の差し止めを請求している。
Appleは5月末にヨーロッパ連合の欧州共同体商標意匠庁(OHIM)に、iCouldの商標権を申請している。商標対象となる分野には、「データ、テキスト、画像、オーディオ・ビデオ用の電子ストレージおよび付随するデータアーカイブサービスと関連する情報とコンサルティング」となっている。また米国では、iCloudの商標に関して2件の記録がある。そのうち1件は、スウェーデンにあるXcerion社で、Appleは450万ドルを支払ってXcerionのiCloud.comドメインを取得している。