カナダ・バンクーバーで開催されたSIGGRAPH 2011にて、オートデスクとウォルト・ディズニー・ピクチャーズは、アニメーション/ビジュアル エフェクト(VFX)技術「XGen Arbitrary Primitive Generator」(以下、XGen)をデジタルエンターテインメント業界に提供することで合意したと発表した。

オートデスクが5年間の独占ライセンス契約を取得したXGenテクノロジーは、最近ではウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ(Walt Disney Animation Studios、以下WDAS)が制作したアニメーション映画『塔の上のラプンツェル』(Tangled)でも使用された。

ファー、羽毛、草などをCGで制作するXGenテクノロジーは、2003年のSIGGRAPHで初めてWDASが研究論文の形で発表され、これまでに長編映画7本、短編映画3本とテレビ番組1本で使用されてきた。主な作品は以下の通り。

  • 『ボルト』(Bolt)-ファー、羽毛、樹木、草、岩
  • 『カールじいさんの空飛ぶ家』(UP)-樹木、茂み
  • 『トイ・ストーリー3』(Toy Story 3)-埃、破片、樹木、茂み、クローバー、花
  • 『カーズ2』(Cars 2)-草、樹木

XGenは、サーフェイスにarbitraryプリミティブを作成できる包括的なシステムで、直感的な操作方法で高度なアートディレクションを行えるとしている。WDASのスタジオ技術ディレクターを務めるダン・カンデラ(Dan Candela)氏は次のように述べている。

「私のチームが最重要視している点は、最高のCGアニメーションを可能な限り効率よく制作するためにパイプラインを合理化することです。Autodesk Mayaを当社のツールセットの中核に据え、100以上のプラグインとエクステンションを開発してきた結果、当社のクリエーターは、限られた時間と予算の制約の中で『塔の上のラプンツェル』という高品質な映画を世に送り出すことができました。VFX/CGアニメーション業界と当社間での技術の共有により、業界全体のクリエイティビティも向上します」

オートデスクではこの2年間に、WDASが持つ他の2つの技術を自社のMayaカメラシーケンサならびにPtexソフトウェアに統合してきた。WDASのカメラシーケンサは、Maya 2011、3Dアニメーションソフトウェアに導入され、WDASのPtexテクスチャマッピングシステムは、Maya 2012と、3DデジタルスカルプティングとデジタルペインティングのソフトウェアであるAutodesk Mudbox 2012に搭載されている。