9月6日(火)から8日(木)の3日間、パシフィコ横浜にて開催された日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス 2011」(CEDEC 2011)の同時開催イベント「CEDEC AWARDS2011」の5部門の最優秀賞が決定し、CEDEC 2011会場において発表と授賞式が行われた。

CEDEC AWARDSは、2008年に第1回を開催、本年で4回目となる。ゲームソフト等のタイトルそのものでなく、コンピュータエンターテインメント開発の進歩へ顕著な功績のあった技術に焦点をあて、技術面から開発者の功績を称え表彰する。

CEDEC AWARDS 2011の優秀賞は、受講者アンケートで上位に選ばれたCEDEC 2010講師とCEDEC 2011プログラムワーキンググループの各分野のプロデューサーで組織される「CEDEC AWARDS 2011ノミネーション委員会」で決定された、各部門5エントリー・合計25の個人とグループに授与された。

各部門の最優秀賞授賞者および授賞理由は以下の通り。

CEDEC AWARDS 2011 特別賞・著述賞受賞者(敬称略)
  • 特別賞:
    田尻 智(株式会社ゲームフリーク 代表取締役)
    石原 恒和(株式会社ポケモン 代表取締役社長)
    授賞理由:
    遊びの本質を見失わず、かつ、たゆまぬ進化を続ける本格的なゲームデザイン
  • 著述賞:
    中嶋 謙互
    授賞理由:
    オンラインゲーム開発技術を取り扱った、本格的な技術書の著述
CEDEC AWARDS 2011 最優秀賞受賞者(敬称略)
  • プログラミング・開発環境部門:
    「Unityエンジン」開発チーム(Unity Technologies)
    選考理由:
    マチュアからプロまで、モバイルからハイエンドまで幅広い範囲で使える洗練されたゲームエンジンを提供。プラットフォームの多様化が進む中、習熟しやすく、かつ移植性の高い開発環境を提供することでアプリケーションの可能性を広げ、また、開発者のすそ野を広げることに貢献している。
  • ビジュアル・アーツ部門:
    ストリート ファイターIV」シリーズデザインチーム(株式会社カプコン)
    選考理由:
    NPRの中でも単なるトゥーンレンダリングではなく水彩表現をリアルタイムグラフィックスで実現した、高いレベルのレンダリング技術と緻密なシルエットデザインがされているモデリング技術のバランスが生み出す効果の集大成
  • ゲームデザイン部門:
    日野 晃博(株式会社レベルファイブ)
    選考理由:
    TVアニメ番組と同時進行でゲームを展開させる「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」。書籍をゲームの一部として利用させるプレイスタイルを実現した「二ノ国 漆黒の魔導士」など、ゲーム内容に則すメディアの特性を最大限に活用した、メディアミックス前提のコンセプトワークを評価。
  • サウンド部門:
    「CRI ADX2」開発チーム(株式会社 CRI・ミドルウェア)
    選考理由:
    ゲーム開発で要求される音質・サイズ・デコード負荷全ての要求を満たす圧縮フォーマットを、マルチプラットフォーム対応ミドルウェア「CRIADX2」として優れたサポート体制と共に提供、共通フォーマット/コーデックとオーサリング環境の提供による作業負荷軽減を実現することでゲームの品質向上に寄与している。日本製のミドルウェアとして、世界レベルの存在。
  • ネットワーク部門:
    Amazon EC2/S3(所属:Amazon Web Services LLC)
    選考理由:
    ハードとソフトとネットワークを仮想レベルで連結する技術により、ゲームの開発やネット上での提供に必要なCPU能力、ストレージ、ネットワーク等を、高い性能、信頼性、スケーラビリティでオンデマンドに提供するクラウドサービスを実現。世界規模の展開を推進する中、2011年3月からは東京データセンターを開設、日本国内でのクラウド利用のハードルを大幅に下げた。
CEDEC AWARDS 2011 優秀賞授賞者(最優秀賞授賞ノミネート)
【プログラミング・開発環境部門】
  • 加藤 博一(奈良先端科学技術大学院大学)
    選考理由:
    AR技術の普及への貢献
  • 「GOD OF WAR III」開発チーム(Sony Computer Entertainment America SantaMonica Studio)
    選考理由:
    高速で高品質なポストAAフィルタの実装
  • 「あから2010」開発プロジェクト
    選考理由:
    人工知能で女流プロ将棋棋士を破る快挙
  • 「Unityエンジン」開発チーム(Unity Technologies)
    選考理由:
    ホビーからプロフェッショナルまでゲーム作りを支援し開発者の裾野を拡大
  • 「Pixel Junk Shooter」開発チーム(キュー・ゲームス)
    選考理由:
    流体シミュレーション技術とゲームの高度な融合
【ビジュアル・アーツ部門】
  • 「FINAL FANTASY XIII」エフェクト制作チーム(株式会社スクウェア・エニックス)
    選考理由:
    圧倒的なクオリティとボリュームを両立させた、ジャパニーズスタイルのエフェクト
  • 「朧村正」開発チーム(ヴァニラウェア有限会社)
    選考理由:
    厚塗りイラストを動かすアニメーション技術、2D表現の進化形を示した
  • Xbox360版「アイドルマスター」シリーズ開発チーム(株式会社バンダイナムコゲームス)
    選考理由:
    アニメ調キャラクターを3Dで違和感なく魅力的に表現
  • 「ヴァンキッシュ」開発チーム(プラチナゲームズ株式会社)
    選考理由:
    高密度なグラフィックスとその最適化
  • 「ストリート ファイターIV」シリーズデザインチーム(株式会社カプコン)
    選考理由:
    リアルタイムNPR表現の一つの完成形
【ゲームデザイン部門】
  • 「TRICK x LOGIC」開発チーム(株式会社チュンソフト)
    選考理由:
    予め推理手段を与えるミステリーの王道的シナリオ構築
  • 「つみきBLOQ」開発チーム(Supermassive Games)
    選考理由:
    奥行の座標認識を直観的に表現し体感させた操作感
  • 「東京迷宮パズル」開発チーム(SCRAP)
    選考理由:
    携帯電話により現実感を醸成させた日本ならではのARG
  • Alex Kuptsov(Fireflame Games)
    選考理由:
    スワイプ操作によるRPG 要素とスリーマッチパズルの融合
  • 日野 晃博(株式会社レベルファイブ)
    選考理由:
    メディアミックスを前提とした相互補完的コンセプトワーク
【サウンド部門】
  • PRESS START実行委員会(有限会社カンパニーAZA、株式会社読売広告社)
    選考理由:
    あらゆるゲーム音楽のオーケストラ実演活動により、ゲームコンポーザの地位と技術向上に寄与
  • DICE Audio Team(DICE)
    選考理由:
    オーディオミキシングに「HDRオーディオ」コンセプトを導入
  • 「CRI ADX2」開発チーム(株式会社 CRI・ミドルウェア)
    選考理由:
    ゲーム機における音質とサイズ、デコード速度の問題を解決
  • 「RedDeadRedemption」サウンド開発スタッフ(Rockstar Games)
    選考理由:
    細部まで拘った自然で緻密なサウンドデザイン
  • 「ウイニングイレブン/プロエボリューションサッカー」シリーズ サウンド開発スタッフ(株式会社コナミデジタルエンタテインメント)
    選考理由:
    ライブレコーディングによるボイス収録プロセスの大転換
【ネットワーク部門】
  • IWATTE チーム(岩手日報社)
    選考理由:
    インターネット技術と新聞編集で培われたノウハウの融合による個人向け号外システムの実現
  • 「Ubiquitous Network Framework」開発チーム(株式会社ユビキタス)
    選考理由:
    極小TCP/IPスタックの開発
  • Amazon EC2/S3(Amazon Web Services LLC)
    選考理由:
    先進的かつ高信頼なクラウド環境の日本市場への提供
  • 石狩データセンター(さくらインターネット株式会社)
    選考理由:
    郊外型データセンターの建設と省電力技術の開発
  • 樋口 証(株式会社ディー・エヌ・エー)
    選考理由:
    HandlerSocket Plugin for MySQL