ついにアマゾン初のタブレット端末が記者発表の場で発表された。現地時間9月28日、ニューヨークにてアマゾンからタブレットPC端末「Kindle Fire(キンドル・ファイア)」が初公開された。かねてから「思い切った安値で勝負してくる」と言われていた通り、iPad対抗馬(米国では499米ドルから)としては余裕の199米ドルだ。

7インチLCDスクリーン、WiFi装備、アマゾン独自の新ブラウザ「Silk」が搭載されており、また、ユーザーはクラウドストレージにて無制限にデータ保存ができる。30日間無償のアマゾン・プライム(年間79米ドル)が付いてくる。出荷は11月15日から開始する予定。

アマゾンの最高経営責任者、ジェフ・ベツォス氏は「プレミア価格でないプレミア製品」と、キンドル・ファイアを片手に語り、アナリストの初期出荷予測300万台を超えることを促した。「我々は15年間メディアビジネスを築き上げてきており、今や売上が年間150億ドルに届くほどまでになった。」 アマゾンでは現在1億以上の映画、テレビ番組をレンタルおよび販売している。MP3音楽では1700万タイトルが揃っている。

今回発表された新ブラウザSilkは、ユーザーのデータやイメージをキャッシュ/圧縮することで他社のブラウザよりも帯域を使わずEC2 サーバへのアクセスを軽くし、Webユーザー・エクスペリエンスを加速する。キンドル・ファイアはiPadを意識したスタイルではあるが、3G、カメラ、マイクは実装されていない。キンドルのネーミングのとおり、書籍、ビデオや音楽観賞に焦点をおいており、タッチスクリーンもiPadの10ポイントではなく、2ポイントタッチでゲーム操作には向いていない。

Kindle touch 3G

またアマゾンは会場でキンドル・ファイアのほかにも、デジタル書籍リーダーの新製品「Kindle Touch(キンドル・タッチ)」という、操作ボタンのないタッチスクリーンのみの端末2機種を紹介した。

Kindle Touch 3Gはタッチスクリーンで3Gが実装されて149米ドル。出荷は11月21日を予定している。Wifiモデルは90米ドル。また今までと同じく白黒のスクリーンのキンドルの軽量化モデルも発表し、こちらは79.99米ドルで販売される。
(Kindle Touch 3Gデモビデオ:
http://www.amazon.com/gp/mpd/permalink/m2FMV93XPGLCAP/ref=ent_fb_link)

発表当日の株価取引では、アマゾンは32%向上、対してBarns&Nobleは62%下落となった。Apple社は今回のアマゾンの対抗製品が発表される噂と、iPad販売加速が落ち着いたと判断されたところで、0.5%の値下がりとなった。ただiPhone 5のリリースを来週に控えているため、大きな反響とはならないとされている。米BTIG社では、Apple社はこの第四半期でiPadを1300万台売り上げると予測している。世界規模におけるタブレット端末の販売は5000万台。Appleは既に2900万台売り上げており、キンドル・ファイアが登場しても暫くはそのまま、市場トップの座から降りることはないとされている。

(山下香欧)