米Netflix社は現地時間10月10日、DVD郵便レンタルサービスを別事業化する計画を撤回、今まで通り一括のNetflixブランドサービスとすることを明らかにした。

事の始まりは7月、同社が今までストリーミングVODサービスとDVD郵便レンタルをバンドルで月額$9.99だったのを、別々のサービスにして各サービスを月額$7.99にすると発表したことから始まった。VODとDVD郵便レンタルサービスの両方を続けるとすると、約60%のプライスアップとなる。

この新価格体制には、加入者から非難の声が殺到した。これを受け、先月Netflix社の創立者兼最高経営責任者であるリード・ハスティング氏が公式ブログで加入者に迷惑をかけたことに謝罪をしつつ、挽回の意味を込めてDVD郵便レンタルサービスを「Qwikster」として別事業にすることを発表した。サービスが全くの別扱いとなることで、今までワンパスだった請求書および支払いや問い合わせ先が別々のものとなり、加入者にとっては一層サービスが悪くなってしまう。それでもNetflix側は、株主宛のレター(PDF)のとおり、事業を2分割することは(顧客の意見を尊重しつつも)、正しい方向性であると述べている。

アナリスト達の予測どおり、Netflix社が報告した第3四半期の終わりの加入者数の予測は、7月の新価格体制の発表直後から100万人マイナス、昨年の19%以上の増加記録を覆したものとなった。

netflix加入者数予測

同社が予測した以上のバックラッシュを受けている間、ペイTVサービスの米Dish Networksでは新しく、ストリーミングとDVD郵便レンタルサービスを合わせた「ブロックバスター・ムービーパス」を月10ドルで提供を始めたり、また米アマゾンでは、既存の倍の数のコンテンツを提供する「プライム・インスタントビデオ」サービスと新タブレット「Kindle Fire」を発表したり、また米Huluでは昨年11月から始めた有料サービス「Hulu Plus」からの収益が全体の半分を占める好結果の予測を出したりと、同社の痛手を逆手にとるような戦略を展開している。

Qwiksterのサービスが行われなくなったことで、Netflixのサービスは7月の価格体制変更から変わらないものとなる。よって、ストリーミングとDVDレンタルの両方のサービスの価格は$15.98のまま。しかしQwikster撤回のニュースは、月曜日のウォール街では良印象を与えたようで、当日の同社株の終値は$7.35上がって(6.27%)124.56米ドルとなった。

(山下香欧)