ソニーは現地時間10月27日、スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソン(Telefonaktiebolaget LM Ericsson)と折半出資する携帯電話端末合弁会社、英ソニー・エリクソン(Sony Ericsson Mobile Communications AB)を100%子会社化すると発表した。来年1月をメドに、各国の政府当局や監督官庁の承認を得た上で実行される見込み。ソニーがエリクソンの保有するソニー・エリクソン(ソニエリ)の50%の株式を買い取る。取得額は約10億5000万ユーロ(約1120億円)。普及拡大が進むスマートフォンや関連技術を取り込み、消費者へ利便性の向上、および商品群を横断した事業の効率性と成長を図るため、という。今回の買収に伴い、ソニーの全ての製品及びサービスを対象とする知的財産権のクロスライセンス及びワイヤレスモバイル技術に関する5つの特許群も獲得する。

ソニエリは2001年10月、当時の不採算事業だったソニーとエリクソンの携帯電話事業を統合、合弁会社として両社が50%ずつ出資して設立された。米リサーチ会社によると、2011年での世界携帯電話シェアは10位(1.7%)である。携帯電話は通話端末としての存在から、様々な情報およびコンテンツにアクセスできる多機能なスマートフォンへと変化した。エリクソンでは、先駆的な技術及び通信サービスのポートフォリオと、携帯端末事業双方を保有することによるシナジーは低下しているという。

今回のソニエリ買収は、通信サービスのインフラ機器に注力したいエリクソン側と、自らが保有する映画・音楽・ゲームといったコンテンツ事業および端末事業の強化を図りたいソニーの意見が合致した結果といえる。

ソニエリの2010年度の売上高は62億9400万ユーロ(約6700億円)。最近はAndroid OSを実装した「エクスペリア」をメインに展開している。現在、当社の売上高全体の8割以上はスマートフォンが占めており、来年2012年中には全製品をスマートフォンに切り替えることを予定している。

記者会見は同日18時(日本時間)より、英ロンドンにて、ソニー最高経営責任者ハワード・ストリンガー氏およびエリクソン社長兼最高経営責任者ハンス・ヴェストベリ氏の出席のもとで開かれた。記者会見の模様(ウェブキャスト)およびプレゼンテーション資料はソニー公式サイトで公開されている。

(山下香欧)