楽天と、電子書籍事業を手がけるカナダKoboは現地時間11月8日、楽天がKoboを買収することで合意に達したことを発表した。買収金額は3億1500万ドル(約236億円)。

楽天はKoboの発行済み株式のすべてを現金で買い取る計画だという。手続きは2012年第1四半期に完了する見込み。Koboは買収後も引き続きオンタリオ州トロントに本拠を置き、経営陣および従業員も維持するという。

Koboは、カナダの大手書店チェーンIndigo Books & Musicから2009年12月にスピンアウトした。250万タイトル以上の電子版の書籍、雑誌、新聞を配信するサービスを世界100カ国以上で展開している。また独自の電子書籍リーダー端末「eReader」も開発しており、Koboのコンテンツは、eReaderのほか、iPad / iPhoneや、Research In Motion(RIM)のBlackBerry、Android搭載端末や、WindowsおよびMac OS Xパソコンでも閲覧できる。

楽天はこの夏、電子書籍販売への本格的な取り組みを開始し、「楽天市場」において電子書籍ストアを開設している。Koboを完全子会社化することにより、オリジナルブランドの電子書籍リーダーを取得、更なる電子書籍事業の強化を図るとする。Koboが持つe-commerce市場のネットワークと楽天のネットワークを融合し、北米と欧州、およびアジアを網羅した市場拡大を期待している。

世界規模の電子書籍市場は、コンシューマー技術産業の中でも著しく成長している分野であり、2015年まで年間成長率を36%上げていくと予測されている(IDC、Yankee、BCG analysis & NRI調べ)。またコンテンツ市場も2015年までに1年あたり約106億米ドルに達すると予想される(中国を除く)。

(山下香欧)