米Appleは11月15日(現地時間)、10月5日に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏の後任取締役会長(Non-Executive)として、米バイオ医薬品大手ジェネンテックの元最高経営責任者である、アーサー・レビンソン氏(61)(Arthur D. Levinson, Ph. D.、上写真)を任命したと発表した。レビンソン氏は、2000年8月から同社取締役を、2005年から取締役の共同代表を務めており、ジョブズ氏がAppleの最高経営責任者(CEO)を辞任した際は、取締役を代表してこの知らせを発表した。
レビンソン氏は、アップルに復帰したジョブズが自分で指名した取締役でもある。CEOのティム・クック氏は「彼は2000年に取締役として就任して以来、Appleに多大な貢献をした人物。彼の洞察力とリーダーシップはAppleにとって貴重なものだ」と述べており、ジョブズ氏の死去後、取締役会をまとめるのに適任だと判断したとみられる。
レビンソン氏は1950年3月31日生まれ。ワシントン州シアトル出身。1980年にジェネンテックにシニアの科学者として入社、1995年には同社の社長兼CEOに就任し、1999年から同社会長を務めている。同氏はまた、共著を含め80以上の科学論文を著し、11件の米国特許を保有している。
同社はまた、米ウォルト・ディズニー社の社長兼CEO、ロバート・アイガー氏(60)(左写真)を取締役に任命したことも発表した。同氏は2006年にディズニーが、ジョブズ氏が会長を務めていた米Pixarを買収した際、ディズニーの社長を務めていた(ジョブズ氏は買収完了後、ディズニーの取締役に就任した)。
Appleの取締役はこれで、レビンソン氏、アイガー氏、ビル・キャンベル氏、ティム・クック氏、米J.Crew会長兼CEOのミラード・ドレクスラー氏、アル・ゴア氏、エイボン(AVON)会長兼CEOのアンドレア・ジュング氏、米軍需大手Northrop Grummanの元CEO、ロナルド・シュガー氏の8人になった。
クック氏はジョブズ氏とも関係が深く、アップルの経営に理解のあるレビンソン氏やアイガー氏を起用し、当面は遺志を継いだ数人の幹部達と共に経営体制を固めていく模様。
(山下香欧)