米Apple社は、デバイス間を隔たりなくシームレスにコンテンツをストリーミングする環境を整え、独自ブランドのスマートTVを市場に投入しようとしている。これは米ウォールストリートジャーナルが12月19日(現地時間)に伝えたことで、それによるとAppleは最近メディア界のトップ達と会合を重ねているという。

会合でAppleは、同社の既存の技術がどのようにテレビに活用されるかといったことが説明され、例えば番組の途中でどのようにスマートフォンといったマルチスクリーンへ視聴デバイスを切り替えられるか、またiPhoneやiPadがテレビのリモコンとなるだけでなく、テレビ自身がユーザーの声や動きを認識できることや、更にiCloudサービスによってテレビ側にユーザーのコンテンツをストリーミング配信できるといったことが挙げられたという。

同社は長年、オンラインとオンデマンドのユーザーインターフェースをどのように変えるべきかという、TV視聴のエクスペリエンスを拡張することに興味を抱いてきた。iPhoneに実装された新しいSiriアプリケーションでは音声認識する。Apple社のTVセットも音声コマンドを受けられるようになるのは当然のことなのかもしれない。

ウォルター・アイザックソン著「スティーブ・ジョブズ」では、故スティーブ・ジョブズ氏が生年、テレビの在り方を見出したことについて語っている。

(ワシントン・ポストのレビューより)

‘I’d like to create an integrated television set that is completely easy to use,’ he told me. ‘It would be seamlessly synced with all of your devices and with iCloud.’ No longer would users have to fiddle with complex remotes for DVD players and cable channels. ‘It will have the simplest user interface you could imagine. I finally cracked it.

“私は、非常に簡単に使える”統合テレビセット”を世の中に出したい”と彼は言った。”そのテレビはシームレスにすべてのデバイスとiCloudで同期されます。” よってユーザーはDVDプレーヤーとケーブルチャンネルの複雑なリモコンをいじる必要がなくなる。”そのテレビはきっと、想像できる最も簡単なユーザーインターフェースを持つことになります。私はついにそれを考え出したのです”

コンテンツ配給社としては、テレビセット自身からApple AirPlayでコンテンツが他デバイスに配信されるのは、セットトップボックスやApple TVデバイスを介すのと比べ、コンテンツ管理上、問題が発生すると懸念している。Apple社がスマートTVを市場投入するまでのタイムスケジュールに、メディア業界からの理解を得るのは間に合うのだろうか-アナリストの間で着目されている。

米市場調査会社Strategy Analyticsによると、米国では一般世帯の約8%がOTTデバイスを所持しており、その数は約1200万台だという。そのOTTデバイスの中でトップの座がApple TV(32%)である。Apple社が独自のスマートTVを市場投入する時期が近いとされている中、OTT市場規模は2012年中に2倍に成長すると予測している。

(山下香欧)