米カリフォルニア、サンフランシスコで、米アップル社による新製品発表会が3月7日の9時より開催された。この日のためにカラフルなアップル社ロゴを装った会場「Yerba Buena Center」の外では、昨年よりも数多い中継車が並ぶ。

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9時10分を回り、ティム・クック氏がステージに登場した。「今朝は素晴らしいプランがあります。まずは「ポスト-PC改革」について話を始めたいと思います。」と集まった200人余りの報道関連者に語りかけた。「アップルはこの革命をリードする最前線にいるのです。」

「PCはもはやデジタルワールドの中核ではありません。かといって、単純なデバイスというわけでもないーこれからの新しいデジタルワールドでは、デバイスはもっとポータブルで簡単に使えるものでなければならないでしょう。」と氏は続け、ポストPCになりうる当社のiPod, iPhoneとiPadをスクリーンに映し出した。昨年はこれら合わせて3億1500万台販売され、同社の売上全体の76%を占めるという。昨年末の3か月間では6200万台を販売した。また世界に362店舗あるアップルストアを訪れた人数は、昨年末の3か月間で約1100万人だそうだ。App Storeでは58万5000ものアプリが販売されている中、ついに250億ダウンロードまで達成した。

1億ユーザが使用しているというiCloud関連の話に移ると、iTunesで1080p解像度のムービーが扱えるようになったことが説明された。そして、この1080p解像度の映像に対応した、次世代「Apple TV」がまるで前座のように紹介された。来週にも店頭に並ぶという。価格は99ドル(税込み8,800円)。

次に音声認識/バーチャルアシスタントアプリ「Siri」に話題が移った。これまでにSiriは、英語でもオージーやイギリス英語といったアクセントで会話ができるようになっていた。本日3月8日から提供が始まったiOS 5.1では、日本語にも対応するという。

話は本題へと移る。
クック氏曰く、ラップトップやスマートフォンも持ち合わせているiPadユーザに、「メールをするのに一番便利なツールは?」と聞くとiPadという答えが返ってくるという。iPadを超えるデバイスはあるのだろうか?「みなさん、何だろうと悩みますか?悩む必要はありませんよ。それはもはやiPadしかないのですから。」「今日はその新しいiPadについてご紹介いたします」。

こうして、新iPadについて本日正式に発表された。
アップルでは、iPadを開発するときには新製品としてだけはなく、新しいカテゴリとして再定義するという。それは、ユーザにとって普段使うツールの中で常に最高のデバイスであるという位置づけである。ワールドワイドマーケティング担当上級副社長のPhil Schiller氏がステージに登場し、新iPadについて説明が行われた。

最初にディスプレイから。
Retinaディスプレイと言える解像度2048×1536、HDTVより100万画素多いトータル3.1Mピクセルを持つ。彩度(サチュレーション)が44%ほど向上しているという。CPUはうわさどおり、A5Xクワッドコアグラフィックスを搭載。A5はTegra 3の2倍速いが、A5Xは4倍だと述べた。ステージでは、いくつかのアプリのデモを行い、新CPUのパワーと高解像度ディスプレイの威力をプロモーションした。

また今回初めてデスクトップ版の写真アプリ「iPhoto」をiPadに移植した。新iPadには、5メガピクセルのカメラが装備され、 iMovieも大幅にアップデートされた。

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そして高速ネットワーク4G LTEが採用された。HSPAでは21Mbps、DC-HSDPAでは42Mbps、LTEでは73Mbpsの高速ネットワークが実現する。LTE接続はTeslus、Rogers、Bell、Verizon、AT&Tで利用できる。もちろん全世界で利用可能な3G WiFiにも対応する。

大型のバッテリーが搭載され、新CPU、Retinaディスプレイ、LTE接続にもかかわらず、従来どおり10時間(LTE接続の場合9時間)の駆動時間が確保された。

価格だが、既存のiPadの価格と同じ499ドル(税込み42,800円)から。32GBが$599(税込み50,800円)、64GB$699(税込み58,800円)。LTEモデルの場合、それぞれ$629(税込み53,800円)、$729(税込み61,800円)、$829(税込み69,800円)となる。購入予約は本日より開始された。日本は米国、英国、オーストラリア、フランス、ドイツと先行組に入り、3月16日からショップに並ぶ。他国は3月24日からだという。そして新iPadの登場により、iPad2の価格が399ドル(税込み34,800円)に引き下げられた。

iPad2と新iPad。アップルは「2012年。これからたくさんの楽しみがやってきます。我々はそれを始めたばかりです。」とスクリーンで述べて発表会を締めくくった。

(山下香欧)