株式会社電通は7月12日、英大手広告代理店のAegis Group plc(イージス)を買収することを発表した。買収総額は31億6400万ポンド(約3955億円)。買収価格は11日終値48%を上回る1株240ペンス(約300円)の予定。同社はイージス社全株を取得し、完全子会社化する。

同買収は友好的なものであり、イージス社の取締役会は今回の買収につき、全会一致で賛同している。買収のための買収資金は、電通が保有する手元資金および金融機関からの新規借入により充当する予定。

イージス社は、ロンドン証券取引所に上場している、デジタル領域においても高い競争力と実績を有するメディアエージェンシー。世界第五位の電通が第六位のイージスを買収することで第四位のInterpublic社にインパクトを与える。過去数年、市場アナリストの間では、共通の大手株主(Vincent Bollore社)を持つ理由で、イージスが第七位のパリに拠点を置くHavas社と統合するのではないかと言われていた。

電通は、欧州だけではなく、アジア地域にも強みがあるイージス社を買収することで、世界的なネットワークを強化する。イージス社は、「Isobar」ならびに「iProspect」を中核として、デジタル・ソリューションに関する高い提供能力を有する。今回の買収で電通は、「360i」といった同社のデジタルアセットと、イージスのIsobarネットワークを融合させ、この企業の広告やマーケティング活動で顧客からの期待が高いデジタル分野の事業基盤を確立できると、期待をよせている。

(山下香欧)