韓国の通信・携帯電話事業者LGユープラス(LG U+)が10月中旬より、Google TV+IPTVサービスを開始した。米国でも人気の韓国人アーティストPSYを起用したキャンペーン効果もあり、話題を呼んでいる。新IPTVサービス「U+TV G」では、Google TV対応のセット・トップ・ボックス(STB)経由で、ライブチャンネルおよび5万本のオンデマンドのコンテンツが視聴できる。

U+TV Gは、韓国市場で初めてGoogle TVに対応したサービス。Google TV+IPTVサービスは、Google社にとっても世界規模で初めてモバイル通信サービスプロバイダと提携した、Google TVの市場展開だ。韓国への投入は、米国、オーストラリアやカナダを先行に、10か国目となる。

U+TV Gでは、スポーツ、映画、CNNやディズニー番組など、現在126チャンネル以上(HDは78チャンネル)の番組や映画作品などを、テレビだけでなくPC、タブレットやスマートフォンといった、モバイルデバイスでもストリーミング視聴できるようになっており、最大4台までのモバイルデバイスで個別のコンテンツを視聴できる。コンテンツをテレビやマルチデバイス上で視聴するためのエンコードシステムには、米エンビビオ社のEnvivio Muse LiveおよびMuse On-Demandソフトウェアが採用されている。エンビビオのエンコード技術は、視聴デバイスによって異なる解像度や帯域制限に合わせ、その環境での最高映像クオリティでコンテンツを提供する。エンコーダーメーカーのほとんどがサードパーティからそれぞれコーデックを支給してもらいシステム化するため、ライブ用とオフライン用のコーデックメーカーが違う場合、やはりエンコード画質にも差が出てくる。しかしエンビビオの場合は自社コーデックのため、ライブとオンデマンドの映像クオリティに相違がない。

STBには、HisenseやVizio製のGoogle TV搭載STBと同じく、米マーヴェル社製の最新システムオンチップARMADA 1500が実装されている。外部接続には、HDMIの入出力、USB、イーサネット端子を備え、Wi-Fiに対応する。STBに搭載された独自アプリにより、IPTVとGoogle TVのすべてのコンテンツを統合して検索できる”統合検索”機能や、YouTube、Google Play、ソーシャルメディアなど、幅広いコンテンツを楽しむことができるようになっている。タッチひとつでスマートフォンの画面をそのままTVで共有することができる”携帯電話to TV”機能では、PCとスマートフォン、そしてTVの両方が双方向にデータを送受信することができ、各機器の写真や動画が簡単に共有することができる。

LGユープラスは2010年にLGテレコムがLGグループ傘下の通信会社2社と合併して誕生した「統合LGテレコム」会社。2009年からIPTV事業に取り組んでおり、U+TV Gサービスを始めた10月のIPTVサービス加入者数は、一気に月加入者数を倍増して100万人を超えた。U+TV Gは月額9900ウォン(約700円)より利用可能(3年契約条件での割引制度を活用した場合)。STB利用料は3000ウォン/月。サービスを受けるには、LG U+のTVとインターネットサービス両方に加入する必要がある。

(山下香欧)