富士フイルム株式会社は、連続的な光量調整を実現した可変NDフィルター「FUJINON ND-P01」(以下「ND-P01」)を、2013年1月7日より発売する。希望小売価格はオープン価格で、市場想定価格は150万円前後。同社によると、放送用光学フィルターとしては世界初の製品であるとしている。
ND-P01は、日本放送協会(NHK)の協力を得て開発した、HD放送対応のNDフィルター。カメラとレンズの間に取り付けるアダプター方式を採用しており、2/3インチ・B4マウントのカメラとレンズに装着可能だ。最大透過率は約90%、最少透過率は約1.6%(1/64)。焦点距離は1.3倍となる。
カメラに内蔵されたNDフィルター(ターレットタイプのNDフィルター)で発生するフィルター切り替え時の黒枠映り込みや絞り調整時の被写界深度変化、光の回折による画質低下などの問題を解決するために可変NDフィルターの人気も高まっているが、可変NDフィルターでは光の透過率が低く暗い撮影シーンに対応できないといった課題もあり、これらを解決するために新開発したのがND-P01だ。
ND-P01は、グラデーション状に濃度変化をつけた独自開発のフィルターを2枚組み合わせ、さらにそれぞれを逆方向に回転させることで、光の透過率を無段階に変化させる。これにより、ターレットタイプのNDフィルター使用時にあったフィルター黒枠の映り込みが無くなり、自然な映像を撮影することができるという。絞りの設定とは無関係に光量調整ができるため、絞りを開放にしてボケをいかした撮影を行ったり、絞り込んだ際に発生する回折現象を回避して鮮明な映像表現が行える。明暗のギャップが激しい屋外競技場でのスポーツ中継や、明るい場所と暗い場所を行き来しながらのロケ撮影、ボケ味の効果を求めるドラマ撮影などで活用できそうだ。