総務省は次世代の高画質テレビ規格「4K」の放送開始時期について、当初予定の2016年から2年ほど繰り上げ、2014年の夏に開始する方針を発表した。来年6月にブラジルで開幕されるサッカーワールドカップ(W杯)に照準を合わせ、韓国よりも先駆けて4K-UHD放送実施を行う世界最初の国として、奮起する構え。エレクトロニクス家電業界においても高画質技術の優位性をアプローチし、日本テレビメーカーの喚起を願う。
地上デジタル放送で4K放送を実施するための伝送インフラには次世代技術が必要なため、まずは既存の伝送帯域でまかなえる衛星放送のCSおよびBSで開始し、将来的に地上波も対応していく。政府は4K-UHD試験放送のコストをカバーする資金を、2012年度補正予算に組み入れていたという。また実施主体となる新組織を、テレビ局やメーカーが共同で3月までに設立し、具体的なロードマップを策定する予定。
また4Kを上回る8Kの試験放送についても、次期夏のオリンピックに合わせて2016年に開始する計画だ。昨年のロンドンオリンピックにおいて、8K解像度でのパブリックビューイングを実施したNHKでも当時、目標としていた2020年試験放送予定を2016年に繰り上げたい意向を示していた。
国内でのテレビ需要においては、昨年7月の地上デジタル放送移行時期に合わせてデジタルテレビへの買い替えが終わり、一旦停滞している。4K-UHDを定着させるには、番組コンテンツの充実と4K対応テレビの低価格化は必須となる。
(山下香欧)