マルチスクリーンTVサービス向けのエンコード技術を開発する米エレメンタル・テクノロジーズ社は、PaaS(Platform as a Service)ベースのクラウド・ビデオプロセッシング「Elemental Cloud」を展開することを発表した。ライブおよびオンデマンド両方のビデオ処理を、自社側のシステムリソースと同期してクラウド上でも行えるハイブリッド式のサービスで、業界では初のモデルケースという。

放送市場およびIPTVでもマルチスクリーン化は今後も拡大すると見られており、新しいデバイスやビデオフォーマット、配信技術は著しく多様化してきている。この急速に進む新規格や需要ペースに随時対応していくには、運用側にとってコスト面での負担がかかりすぎる。オリンピックのような大イベントや期間限定のライブ中継放送などで不定期に需要のデマンドが要求される場合、システムの増設にゆだねず、スケールアップしなければならない分をバーチャルシステムとしてElemental Cloudで行うという提案だ。

Elemental Cloudでは、これらに対処し、ペースを維持するための弾力性ある拡張能力を組み込めるとしている。本サービスは、統一したインターフェースで自社システムとクラウド側を同時に管理が行え、リソースをクラウドだけでも、また自社側とハイブリッドで運用することも可能になっている。クラウド側のビデオ処理はAmazon Web Services (AWS)に組み込む。

このPaaSベースのビデオ処理技術は、NABショーに出展するエレメンタル社ブースにてデモンストレーションされる(ブース番号:SU2724)。

またブースでは、HEVC/4Kの映像品質も、IntelのSandy BridgeベースのサーバーコアチップとNVIDIA社のTesla GPUアクセラレータを実装した最新のエンコーダーアプライアンスと共に展示される。

(山下香欧)