iPadでビデオ編集できるアプリとして思い浮かぶのは iMovieやPinnacle Studioくらいだろう。そこに新しく、Avidパワーユーザーのエディタが開発した「TouchEdit」が登場した。
TouchEditは、30年近くもハリウッド映画産業で映像編集を行っているDan Lebental氏が設計した。Lebental氏は、「アイアンマン」、「カーボーイ&エイリアン」や「エルフ」などの映画作品にクレジットされている。Lebental氏はもともと、物理的な映画フィルムの切り張りを行っていたこともあり、本アプリのインターフェースにはフィルムを巻くローラーがビデオトラックにデザインされており、またプロジェクト管理のインターフェースはフィルムテープの切り張りをする、フラットベッド編集を思わせる。Lebental氏は現在、映画作品の編集作業で使っているという。
インターフェースの下の操作は、クリップアイコンはメモ、テープアイコンは編集、はさみアイコンはトリム、鉛筆アイコンはマークイン/アウトとなっている。編集タイムラインがスクロールするとき、ほかのNLEと同じようにタイムラインの下には再生している位置(プレイヘッド)が一目で分かるようになっている。他の2つの編集アプリと大きく違うのは、フッテージが左から右へ動く点だ。タッチスクリーンの醍醐味を利用して指先でクリップを移動、挿入やオーバーライトといった動作が行える。トリムを行う時に、タイムラインをズームできるのも便利だ。マークイン・アウト点を作るとディレーションが表示される。外部タイムコードも対応、またマルチプロジェクトを扱え、各プロジェクトではマルチシーケンスに対応している。
オーディオ編集には、8チャンネルのオーディオ・ミキサーも用意されている。サウンドトラックは、Wildfireポストプロダクションスタジオのサウンドエフェクトが使える。次期バージョンでは、オーディオクリップの任意のポイントにディレクターが書き込みできる、メモ書き機能が追加される予定。
オーディオ編集画面
TouchEditで編集する素材は、Dropboxを使って取り込む。キヤノン7Dなどで撮ったH.264フォーマットの映像データやMOVデータがそのまま使える。対応フォーマットは、H.264(1080p)、MPEG-4 (640×480)、MPEG(1280×720)。
仕上げたクリップは、QuickTimeかFCXMLでエキスポートできる。後者ではパラメータと一緒に編集したメディアクリップも一緒にエキスポートできる。FCXMLが対応できるのは、FCPXやBlackmagicのResolve8だ。近々、Avidメディアコンポーザーでも直接やり取りが行えるよう、AAFにも対応するとしている。
TouchEditの最新バージョン(4月1日リリース)ではFCPのXMLインポート、タイトルツールが追加された。
TouchEditの価格は49,99ドルで、アプリとしては高めの設定。現在は期間限定で29.99ドルで販売されている。日本のAppStoreでは2,200円。編集ガイド/チュートリアルも豊富で、YouTubeにて視聴できる。
蛇足だが、来週開催されるNAB2013にてパートナーブース、もしくは間借りして出展する予定。NABでは、AAF対応およびグラフィックス(アルファチャンネル付)のインポートやトランジション機能を搭載したバージョンを参考展示するという。
(山下香欧)