ロイターをはじめ他国で報道された内容によると、ソニーはエンターテインメント部門の20%を売却する案を検討しているという。これはソニー株6.5%を所有する米ヘッジファンド、サード・ポイント社からの提案で、ハリウッドのスタジオからレーベルまで扱う娯楽事業の一部を売却することで、ソニー株価を60%ほど強化できるとしている。
ソニーは、日米自社ビルや保有株の売却利益を営業利益に計上して4年ぶりの黒字を発表したところ。東京JR大崎駅前に所有する自社ビル「ソニーシティ大崎」を総額1111億円で売却、またDeNA株式全部を売却するなど、本業エレクトロニクス事業の不振が続く中、資産構成を見直すことで収入の改善を試みている。
サード・ポイント社のビリオネア、ダニエル・ローブ氏は、ソニー平井社長宛ての手紙で、エンターテインメント部門を手掛ける子会社の株式15〜20%を新規上場に放出して、本業のエレクトロニクス事業に集中するよう提案を持ちかけた。この手紙の内容は、先週のニューヨークタイムズでも公開されている。
平井社長は5月22日の経営方針説明会で受けた米報道機関からの質問に、ローブ氏からの提案について取締役会で議題とすることを伝えた。これを受けて午前の同社株価は、一時11.5%の大幅高になり、終値は前日比5.9 %アップの2290円を付けた。
同社は、基本方針のひとつ「エレクトロニクス事業の強化」において、携帯端末事業の14年度の売上高を1兆5000億円にし、9年連続の赤字となっているテレビ事業の黒字を目指すという。対してデジタルカメラなどの映像機器とゲーム事業については、業績目標を下方修正している。
(山下香欧)