総務省は6月5日に「平成24年度『次世代衛星放送テストベッド事業』に係る提案」について、委託先候補に「一般社団法人次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)」を選択したと発表した。

総務省が3月26日から5月15日まで公募を行ったところ、2件の提案があった。この事業は、4K/8Kの放送システムに必要な技術の検証などを行う実証業務を委託により行わせるものである。予算は30.5億円。

NexTV-Fは5月2日に一般社団法人として発足。NHK、スカパーJSAT、NTT、ソニーの4社が発起人となり、在京テレビ局のほか、商社やメーカー、広告代理店など計21社が参加し、次世代テレビの段階的な普及と、新しいアプリケーションの開発を促進させる為の取り組みを国と連携して行っていく。2014年からの4K試験放送の実証のため、放送免許を得てテストベッドの運営を担う。会長には、トヨタ自動車の渡辺捷昭相談役(経団連副会長)が就任。理事長には、総務省系の東京大学大学院・須藤修教授、副理事長には、NHKの松本正之会長と、ソニーの平井一夫社長がそれぞれ就任した。

政府は今年の初めに4K放送の開始時期について、当初予定の2016年から2年ほど繰り上げ、2014年の夏に開始する方針を打ち出している。

政府は、次世代圧縮技術(HEVC)の標準化、次期CS(衛星)の打上げ時期(2016年)及び新サービス普及の契機となり得るスポーツイベント(2014年のワールドカップ開催)等の時期と重ねて、4K/8K放送の実現に向けて具体的な取組みを記したロードマップの策定する作業などを進めている。放送サービスの高度化に関する検討会をこれまで3回行ってきており、4K放送に関しての側近のタイムライン(2014年)は以下のとおり。
(5月31日検討会時の配布資料より)

2014年

(ブラジル(リオデジャネイロ)・ワールドカップの開催年)
可能な限り早期に、関心を持つ視聴者が4Kを体験できる環境を整備。

衛星
  • 124/128度CSを活用。STB等を通じ、希望する視聴者が、自宅や量販店等で視聴可能な環境整備を目指す。
ケーブル
  • ケーブル網での放送については、今後の放送関連技術の策定や衛星による試行的放送の準備状況をにらみながら、同時期に開始できるように準備を進める。
IPTV
  • VODサービスを2014年早々に試行的に開始。
  • IP放送サービスについては、今後の放送関連技術の策定や衛星による試行的放送の準備状況をにらみながら、同時期に開始できるように準備を進める。

(山下香欧)