アカデミー賞&エミー賞を受賞した技術を持つ、Colorfront社(本社:ハンガリー)のデイリーシステムが新刷されてIBC2013で一般公開される。同社の「On-Set Dailies(オンセット・デイリーズ)」はハリウッドプロダクションに浸透されている統合オンライン・デイリーシステム。カラーグレーディングから4K/UHDTVリアルタイムプレビュー、オーディオシンク、メタデータ管理からフォーマット変換まで現場で行える。
新しく登場するOn-Set Dailies 2014は、業界最新・最速のCPUとGPUに対応したことで、UHDTV解像度の素材編集速度のリアルタイム性を確信させた。AJA Corvid Ultraを利用してHD/4K/UHDTV(HFR)の同時出力にも対応する。機能の向上としては、新しいプライマリやユーザセレクトできるグレーディングツールを備え、マスク、カーブ、マッピングなどをTangentといったサードパーティのコントロールパネルから調整できるようになる。プレイバックとレビューツールには、新しいタイムラインと編集機能が追加され、Bin/Loogstoreの機能も拡張されている。本システムはソニー F55、ARRIRAW、REDなど最新カメラのA/Vフォーマットにも対応、またQuickTime、MXF、DCP、IMF AS-02 MXF、そしてHEVC/H.265にも対応するという。
「Express Dailies(エクスプレス・デイリー)2014」は、Mac Pro、iMac、MacBook Proプラットフォームに対応。NVIDIA GeForce GTXとAMD FireProのGPUパワーで4Kディスプレイから4Kデベイヤー処理、配信する。VFXハウス向けに不可欠な2K/3K/4K/5K/6K DPX、TIFF、EXRファイルフォーマットのエクスポートが可能。このエクスプレスバージョンでも、タイムラインユーザーインターフェースが一新されている。他の主な新機能には、LUTインポート/エクスポート、ウェーブフォームとベクタースコープ、2K ProRes出力、ライブグレーディングが挙げられる。
「On-Set Live!」は、On-Set Dailies内で使われるライブグレーディングシステム。マルチカメラからライブソースを受け取り、ルックス生成、管理、フッテージのプレビューにライブRAWカメラのグレーディングまで行うことができる。IIF/ACES(Academy Color Encoding System)ワークフローにフル対応するほか、キャリブレーションやスペースコンバージョンにPandora Pluto、Blackmagic Design HDLink Pro、T-Cube Figといった3DLUTシステムを利用することができる。タイムコードのバーンイン、透かし、そして色温度、ISO、フォーカス、ズームの数値などのカメラ・レンズのメタデータに対応できる。
2Kから4K/UHDTVまで対応するデジタルファイル変換システムの「Transkoder 2014」は、今までのWindowsサーバプラットフォームから変わり、MacとPCプラットフォームに搭載したシステムを展示する。RAWフィルムデータをオンライン編集し、多様な出力フォーマットや中間フォーマット(メザニン)に変換するパフォーマンスをデモンストレーションする。Transkoder 2014のソフトウェアもユーザーインターフェースを一新し、マルチトラックタイムライン、EDLコンフォーム編集ツール、字幕対応、ウォッチフォルダーの自動化など新機能が追加されている。CinemaDNG、R3D、ARRIRAW、ソニーF65/F55、Canon C500、Phantomカメラフォーマットに対応する。出力にはDCP、IMF AS-02とHEVC/H.265に新しく対応できるようになった。
Colorfront社の最新デイリーシステムは、AJA社(ホール7/7.F11)、Tangent社(ホール7/7.G33)、ソニー社(ホール12/12.A10)にて展示される予定。
(山下香欧)