ARRIは昨年発表した、シネマスコープ撮影用の特殊レンズ“アナモフィックレンズ(円柱レンズ)”の「ARRI/ZEISS Master Anamorphic Prime(マスターアナモフィック)」全シリーズの出荷時期を明らかにした。ARRIは、このレンズシリーズを長年のコラボレーターのカール・ツァイス社と共同開発を施している。実際は、ZEISSがARRIの仕様に応えて製造したもの。ZEISS自身でも、シネスコの世界を実現するアナモフィックレンズの復活に力を入れることを言及していた。

このシリーズは、ARRI ALEXAといった、35mmフルサイズ+4:3センサー搭載のデジタルカメラ用として市場初のアナモフィックレンズでありながら、アナログフィルムカメラにも対応できるとしている。

131007_ARRIZEISS-MA-spec_1.jpg マスターアナモフィックシリーズのスペック一覧表
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MA35/50/75は無事8月に出荷を開始。MA100は今月10月、そしてMA40/60は2014年の2月、そしてMA135は来年のNAB時期という。価格は、MA35が$43,600、MA100が$46,400。MA135が$50,500。7モデルセットで購入するとなると、3500万円以上という計算になる。

MAシリーズは、新開発の15枚の絞りブレードと、開放絞り値T1.9(T値:中心から周辺部までレンズの通す光の平均値)という明るさで生み出す、従来のアナモフィック感と浅い被写界深度を活かしたフィールドワークを可能する。光学技術を取り込み、今までのような歪曲収差やフレアボケがないという。

開発当初から世界有数のシネマトグラファーとのテストシューティングを重ねてきており、彼らがMAを実装して撮ったショーリールが展示会などのイベントで公開されている。(撮影者は、カール・ウォルター・リンデンローブ:USA、オリー・ウィギンス:英国、ルー・シェン:中国)

(山下香欧)