C100、C300、C500、そして一眼カメラタイプのEOS-1D C、各種交換レンズなどCINEMA EOS SYSTEMはある意味完成の域に達したといえるが、一連のカメラのファームウェアバージョンアップなども行われ、機能的にも性能的にも常に進化をしている。その甲斐あってか、EOS-1D Cが欧州の放送規格であるEBUの基準に適合したと、InterBEE初日の12日に発表された。会場でもCINEMA EOS SYSTEMへの人気は相当なもので、ハンズオンコーナーはいつも黒山の人集りだ。毎年恒例となったセミナーもカメラやレンズの事例だけでなく4Kや色域補正、Logなどの後処理に関してのテクニカルなことなどの話題に広がりを見せており、会期中の3日間、10:30から17:30までビッチリとスケジュールが詰まっている。
今回同社のもう一つのトピックとして、業務用30型4KディスプレーDP-V3010の発売が発表となり、来年から市場に投入される。今までも参考出品としてこうした展示会で披露されていたが、今回は製品版の出展だ。キヤノンのディスプレーというと奇異に感じるかもしれないが、医療用のモニターやHMDといった業務用途のディスプレーディバイスは以前から手掛けており、4K映像制作ディスプレー市場へは新規参入となるものの、分野違いはあるとはいえ、製品の投入は必然だったのかもしれない。
今年8月あたりからCINEMA EOS SYSTEMのカメラを対象にしたファームウェアのアップデートがいくつか発表された。単なるバグフィックスではなく、機能的性能的な部分が数多くあり、中にはマイナーチェンジあるいは新製品として発売してもよいのではと思われる項目もある。操作性に関わる部分やISO80000などは実際に手に取って、あるいは実際に撮影した画像を見て確かめたいという気持ちは当然で、ブース内にはかなりの数のカメラがあっても順番待ちの状態だ。
ファームウェアのバージョンアップはC500/C500 PL、C300/C300 PL、C100、1DCの6機種だけでなく、発売から3年を経過した業務用ビデオカメラXF305/XF300も、XLR端子極性を変えるファームが8月から提供されている。
業務用30型4K(4096×2560)ディスプレーDP-V3010は、独自設計のRGB LEDバックライトシステムとIPS液晶パネルの採用により、広色域・高解像・高コントラストを実現している。Canon Logガンマ対応をはじめ、ASC CDLでの画質調整機能や1D/3D-LUTのインポートが可能となっており、DCI(SMPTE RP431-2)のほか、複数の放送規格ITU-R BT.709、EBU、SMPTE-C、Adobe RGBの色域表示が可能。また、3G/HD-SDIとDisplayPortを標準装備しており、DCIの定める4096×2160/24pに加え、4096×2160/60pおよび3840×2160/60pに対応している。
2013年12月上旬に発売される4Kカメラに対応した焦点距離35mmの単焦点レンズCN-E35mm T1.5 L Fも出展され、映画用のレンズとして長年の実績があるZEISSのPrimeレンズには及ばないものの、14-135mmまで6本のラインナップがそろった。フィルムカメラと同じEFマウントということもあり、35mm映画用PLマウントのレンズとは異なるユーザー層をターゲットにしているとも言えるが、他社も含め今後の成り行きに注目したい。
毎年恒例、いつも超満員のセミナー会場はブース正面に広いスペースが確保されていた。12項目のセミナーが3日間フルで開催されている。全部聴講しようとしたら最低2日はキヤノンブースに張り付かなくてはならない大ボリュームだ。
正面のセミナー会場だけでなく、ブース内でもいくつかのミニセミナーが開催されている。写真はFreefly MōVI を使った撮影セミナーで、間近で様子が見られる分フレンドリーな感じだ。
30型4KディスプレーDP-V3010の画面表示。4096×2560とちょっと縦長になっているが、余白部分にはタイムコードを表示できるようになっている。OSDによる各種設定が可能。この設定はディスプレーコントローラーから行うことができるほか、本体のみでも調節は可能。
35mmの単焦点レンズCN-E35mm T1.5 L F。スーパー35mm相当、35mmフルサイズ、APS-C、APS-Hのセンサーサイズに対応するEFマウント軽量単焦点レンズで、絞り開放時の浅いピント範囲でもフォーカスの回転角が約300°と大きく、微妙なピント合わせが容易に行える。
バージョンアップされたCINEMA EOS SYSTEMのカメラたち。ハンズオンコーナーはいつも人だかりが多い。今回のバージョンアップでC100はデュアルピクセルCMOS AFに対応になる。これによりすべてのEFレンズでコンティニュアスAFが可能となり、動画撮影時のスムーズなピント調節が行える。
C500による4Kライブ伝送システム。イベントや中継などでC500の映像を伝送するためのシステムで、光ケーブルにより、4K RAW60pの映像信号のほか、リモート、インカム、ゲンロックなどを長距離伝送できるというもの。日本ビデオシステムの伝送システムLS-750/850や、アストロデザインの4KリアルタイムRAW現像システムHB-7513などを組み合わせたシステム。