ARRIのドキュメンタリースタイルデジタルシネマカメラ「AMIRA」
14ストップを超える広いダイナミックレンジや美しいスキントーン、自然な色再現性を実現できる「AMIRA」
もっとも注目を浴びていたのはARRIのドキュメンタリースタイルデジタルシネマカメラ「AMIRA」だ。ALEXAというと撮影部の人たちがオペレーションをするという形だった。一方、AMIRAは一人で撮って一人でカメラの中でカラコレをしてProResに収録するというワンマンオペレーションとなっている。
カメラハンドルやショルダーパッドが前後に幅広くスライドする方式を採用。カメラハンドルを動かす前の状態
AMIRAは、素早く出して、素早く撮影ができる「Pick Up>Shoot」というのがコンセプトだ。ALEXAの場合は、電源を入れたらブートが終了するまで約1分かかったり、マッドボックスにNDフィルターを入れたりなど、準備をしなければいけなかった。AMIRAは内蔵NDを搭載しているので、セッティングに時間がかからない。しかも、小さいのでカメラケースから取り出したら、すぐに三脚に乗せたり、肩に乗せたりすることができる。バランス調整も非常にフレキシブルにできるようになっていて、レンズを交換したときにカメラハンドルやショルダーパッドが前後に幅広くスライドしてバランスがとれたりできるようになっている。
カメラハンドルを動かした後の状態
カメラ内蔵カラーコレクション機能によって撮影現場で効率的な作業が可能というのもAMIRAの特徴だ。LOGガンマを使う際は、既存の方法のLOGのまま取り出してリニアに戻しながらカラコレをするということも当然できるが、それだと手間がかかってしまう。AMIRAでは、数多くのルックファイル(3D-LUT)があらかじめ搭載されており、好みに応じて選択することができるようになっている。詳細は未定だが、自分の好みに合うルックファイルをメタデータの中に入れられたりして、カラーコレクションのソフトウェアに移したときにすぐにその色で再生されるなどの利便性を実現するのではないかと予想される。また、3Dラットをこのカメラの中でカスタマイズすることもできる予定とのことだ。
フラッシュメモリカード規格「CFast 2.0」に準拠するメモリカードを採用しており、ProResコーデックで最大200fpsの収録が可能だ
ブースで展示されたものはワーキングプロトタイプのもので、値段などは年内中に発表される予定。量産が開始されるのはおそらく来年のNABのタイミングになることが予想される。国内で使用できるようになるのは来年の中ぐらいになるのではないかとのことだ。
総合画質、製作費の節減、効率的なワークフロー、信頼性、操作性を向上させたALEXA XTシリーズ
ARRIフィルムスタイルデジタルシネマカメラ「ALEXA XT」
ALEXAには16:9のセンサー搭載の「Original」、ワイヤレスリモートシステム搭載の「PLUS」、カメラボディとヘッドが分離したユニークな「M」、ミラーシャッターを搭載した「STUDIO」というラインナップが存在するが、Originalを除いてすべてXTになった。今までできていたこともできるほかに、CODEX社と共同開発したXRモジュールの搭載で、ProResやDNxHDコーデックにも対応。ProRes 4444でも最大120fpsでの収録が可能になった。AMIRAが出てきたことによって、ALEXA XTは「ARRI RAWのカメラ」というイメージが強くなった感じだ。
シネマチックな特徴を実現できるARRI/ツァイスの「Master Anamorphic 35 mm/T1.9」がカメラに取り付けて展示されていた
こちらはアンジェニューのアナモフィックズームレンズ「Optimo Anamorphic 56-152」だ
HMIパースポットライトに800Wモデルが登場
ARRI HMIパースポットライト「M8」
新製品のARRIパースポットデイライトの「M8」が展示されていた。M8は、800Wの消費電力で従来の同社フレネルスポットデイライト照明1200Wと同等の光量を得られるというのが特徴だ。パースポットライトというのは、そのまま使ってしまうと影がバキバキに出てしまうために拡散レンズを入れなければいけなかった。その拡散の度合いで何種類かレンズがあって、それを入れ替えて使っていた。しかし、鏡がたくさん合わさったような形になっている「マックスリフレクター」と呼ばれる多面ミラーを採用することにより、レンズを入れる必要がなくなる。レンズ不要により、減衰がなくなり光量が上がるというのが同等の光量が得られる仕組みだ。
マックスリフレクターは多面ミラーを採用したような感じのものだ