ウォルト・ディズニーがついにクラウドベースのコンテンツサービスを始めた。米国で始まった“Disney Movies Anywhere”では、ディズニーブランドの映画コンテンツがテレビ、PC、iOSモバイル端末から視聴できる非会員制のサービス。
ディズニーは独自のデジタル・コンテンツの著作権保護方式を使い、ディズニーもしくはApple iTunesストアから映画を購入できるようにした。UltraViolet(UV)のようにデジタルムービーロッカーに独自開発したKeyChestを利用して、店頭で購入したりオンラインで購入したり、コンテンツの管理を行える。実はこのKeyChestはディズニーがUVよりも数年前に編み出した技術でもある。
UVは、デジタル・コンテンツ配信の標準化団体であるDigital Entertainment Content Ecosystem LLC(DECE)が取りまとめたデジタル管理規格。DVDやBlu-ray、オンラインの動画サービスで映画を購入した際にそのデジタルコピーを取得してUltraVioletの管理のもと、マルチスクリーンでコンテンツが視聴できるもの。実は、ハリウッドスタジオでは唯一、ディズニーだけがDECEのアライアンス企業になっておらず、UV規格を採用していなかった(またApple社もアライアンスの一員ではない)。今回ディズニーは、Appleと共に独自のデジタル・コンテンツ管理システムをクラウドで実現させたわけだ。
現在はiTunesストアもしくはDisney Movies Anywhereサイトから400以上の映画タイトルが購入できるようになっており、最新のヒットアニメ・ミュージカル作品「アナと雪の女王」までデビューしている。また、近いうちにAndroid OSデバイスでも利用できる計画だという。
ディズニーは以前にPCのブラウザ上からダウンロード購入または視聴できるサービス“ディズニームービーオンライン”を展開していたが、オフラインでは視聴できないといった制限もあって2012年末にはサービスを打ち切っていた。今回の新しいクラウドサービスはディズニームービーオンラインの次世代版である。
(山下香欧)