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Adobeブースレポート
パッケージ販売からAdobe Creative Cloudというサブスクリプションサービスに移行して2年ほどになるが、リーズナブルで常に最新のバージョンをユーザーに届けることが可能になったほか、クラウドストレージの提供などが支持され、すでに180万を超える契約数になっているという。今回のNABではAdobe Premiere Pro CCおよびAdobe After Effects CCのメジャーアップデートの発表があったほか、多数の編集システムが接続された協調制作環境の課題を解決するAdobe Anywhereの新機能デモンストレーションなどが行われた。
今回のバージョンアップにより、Canon RAWおよびソニーSStPにネイティブ対応することで、ネイティブ対応フォーマットをさらに拡充したほか、RED R3DデベイヤーもGPUにより高速処理できるようになった。またSpeedGradeによる色調補正およびカラーグレーディングもCUDAに加えOpen CLサポートした。これにより、さらなる効率化が可能となった。
After EffectsテキストアニメーションをPremiere Proで自在に活用、ショートカットキーのアサイン、GoPro対応のレンズ補正など、様々な機能や操作性の向上なども今回のバージョンアップで対応になる。
今回のバージョンアップでCinema DNGのほかRED R3Dのデベイヤーも高速処理されるようになった。また、After Effectsの機能をPremiere Proに取り込むことで、映像の部分的なエフェクトや対象物の動きのトラッキングなどがPremiere Pro内で行えるようになった
Adobe Anywhere for videoによりローカルネットワークやリモートネットワークからアクセスし、ストリーミングして作業することが可能
今回のアップデートについて古田正剛氏に直撃!
Post from RICOH THETA. – Spherical Image – RICOH THETA
アップデートについてデモンストレーションを交え解説
今回のNABでAdobe Premiere Proに搭載された新機能は、Live TextテンプレートとAfter Effectsから取り入れられたマスク&トラック機能のほか、従来から対応していたパナソニックのP2やソニーXDCAM、XAVCのほかPhantom Cine、6KまでのRED R3D、ARRIRAWといったフォーマットに今回Canon RAWおよびソニーSStPがネイティブ対応となった。
そのほか、After Effectsにはグリーンバック合成品質を改善するキーイングエフェクトや、Adobe Auditionのマルチトラックのツールの強化、Adobe Media Encoder出力オプションの拡張、Adobe Premiere ProとSpeedGrade CC間でプロジェクトをシームレスに移動できるDirect Link強化などの新たな機能が搭載された。また、Adobe Anywhereにおけるリアルタイムの協調制作機能が強化された。
多くの新機能や機能強化があるが、主なところをアドビシステムズの古田正剛氏にお伺いした。
古田氏:現在、アドビ映像制作ツールの開発において、Ultra HD、ファイルレス・ファイルベースワークフロー、そしてマルチスクリーン視聴環境への対応、この3つの領域に重点を置いています。
Premiere Proの主な新機能として、After Effectsで作成されたテキストアニメーションをPremiere Proから直接編集できるLive Textテンプレートがあります。Premiere Proで映像にAfter Effectsで作成されたテキストアニメーションをのせた時に映像によってはテキストアニメーションを映像に合わせて修正したいときがありますよね。
この時いちいちAfter Effectsに戻らなくてもPremiere Pro上で直接修正ができるので、効率的な作業を行うことが出来ます。ただ、あくまでも修正や編集作業が行えるというだけで、テキストアニメーションの制作はAfter Effectsで行うことになりますので、After Effectsが必要ないというわけではありません。
ビデオエフェクトでモザイクを選択することが可能
古田氏:また、最近では肖像権や個人情報などの問題で、人の顔や車のナンバープレート、住居表示などが映像にある場合、ボカシやモザイクを入れるという作業が、放送などでよく使われるようになりました。こうした作業は静止している映像では簡単ですがビデオのように動きがある場合は、その動きに合わせてボカシやモザイクを移動したり大きさを変えるといった作業が必要になります。
今回Premiere Proには、対象物に正確なマスキングを行って移動する対象に追従することができるマスク&トラック機能が搭載されています。もちろん1箇所だけではなく複数の箇所に設定できますので、手間や時間が大幅に省力化でき、効率的な作業を行うことが出来ます。ほかにもPremiere Proには、プロジェクトの自動保存ファイルをCreative Cloudのストレージに保存する自動保存機能や新しいマスタークリップエフェクトでオリジナルクリップにエフェクトを適用できるようになります。
ネイティブ対応できるフォーマットもCanon RAWやソニーSStPを新たにサポートしたほか、RED R3DデベイヤーのGPU処理やSpeedGradeのOpen CLサポートなどGPUによる高速処理を強化しています。対応GPUはNVIDIA、AMDのほかIntel Iris Proにも対応しました。
あと、細かなことかもしれませんが、複数のショートカットキーにコマンド割当を可能にしたり、SHIFT+左右カーソルでの移動フレーム数が設定可能になったりしています。他のソフトをお使いの方でもショートカットキーを共通化することで、より操作になじみやすくなると思います。
After Effectsでも強力な機能を追加しています。高圧縮コーデックで撮影されたクロマキー素材のキー生成を、より効果的に行うキー合成エフェクトにキークリーナー、スピルサプレッションが搭載されています。高圧縮コーデックでは、キーで抜きたい対象の輪郭が不安定(不明確)なことが多く、キー生成が綺麗に出来ないため合成部分の輪郭が綺麗にならないことが多かったのですが、主にこうしたキー生成をうまく行うための仕組みと言えます。また、Typekit連携がPremiere ProとともにAfter Effectsでも可能となり、多くのフォントライブラリーが利用できます。
After Effectsで作成されたテキストアニメーションをPremier Proから直接編集できるLive Textテンプレート。After Effectsに戻らなくてもPremiere Pro上でテキストアニメーションを直接修正できる
古田氏:Adobe Anywhereは、ネットワーク環境で、Premiere ProやAfter Effectsなどを一元管理されたメディアやアセットを使用して協働作業を行うことができる協調制作ワークフロープラットフォームです。
今回新たに、プロジェクトのバックアップをリアルタイムで行うホットバックアップ、Preludeのラフカットで編集を開始し、Premiere Proでシーケンスの仕上げが行えるラフカット対応、AnywhereとAfter Effectsのメディア処理を直接統合できるAfter Effectsメディア処理機能が搭載されました。これにより、放送局や教育機関、政府機関など大規模な組織において、より深いレベルで連携した映像制作作業が可能になります。
Adobe Creative Cloudになり2年が経過しましたが、パッケージ版と異なり、こうした新機能をすぐに手にすることができるようになったほか、クラウドを使った協調作業や作業の履歴の管理などが容易に行えるようになりました。特に最近では撮影現場や移動中、打ち合わせ時などでラップトップを使うことが多くなり、実際の作業はデスクトップで行う場合でもAdobe Anywhereが重要な役目を果たすことができると思います。もちろんこうした新機能などの搭載の他にもPremiere ProやAfter Effectsを始めとして数々のバグフィックスも行われています。
マスクのパラメーターは細かに設定出来る
Creative Cloudにより新機能をすぐに手にすることができるようになったほか、クラウドを使った協調作業が可能