株式会社NTTドコモ(ドコモ)は、次世代の動画圧縮技術「H.265/HEVC(HEVC)」やストリーミング技術を活用した効率的な動画配信を実現するためのガイドラインを動画コンテンツプロバイダー向けに作成し、5月30日より公開した。

おさらいになるが、HEVCは従来の動画圧縮方式「H.264/MPEG-4 AVC」と同一のビットレートで2倍以上の高画質化を実現できる技術。そのためサービス提供側では、現在の配信環境/配信コストで高画質化できるメリットに、従来のサービスクオリティのまま動画配信コストを軽減することができるとされている。

このHEVCストリーミングが再生できるスマートフォンは今年の夏モデルから。動画サービス「dアニメストア」では5月15日からHEVC対応動画の提供が既に始まっている。またドコモ配信サービスではクアッドバンド(4つの周波数帯)を効率よく利用するモバイル無線高速ネットワークを開始し、更に年内にはLTE対応基地局の拡大を、昨年比1.7倍で予定しており、これらによりユーザ体感品質の向上を目指していることが分かる。

公開されたガイドラインは、ユーザエクスペリエンスを高めるための動画配信について、具体的な手法を系統立てて解説。

配信指針としての画質、ビットレートなど最適化の手法からWEBサイトにおける静止画の工夫など。そしてドコモ自身の運用事例としてdアニメストアの動画配信技術例を説明している。例えば配信ビットレートの最適化としては「通信状況が変わるモバイル環境では、途切れのないスムーズな動画ストリーミングを提供できるHTTPアダプティブストリーミング技術の採用を推奨する」と述べられている(ただし、ドコモの2014年夏モデル端末ではHEVCのHTTPアダプティブストリーミングには対応していないため、AVCでの動画提供となる)。

今回のガイドラインの作成には、Jストリーム、ドワンゴ、フォアキャスト・コミュニケーションズ、NTTぷららが協力した。

(山下香欧)