NABにて米MITフィルムが発表した、DIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)用デイリーのポータブルシステム「Carry On」が早くも日本で紹介された。7月2日~4日まで東京・ビッグサイトにて開催された「第2回 プロダクションEXPO」にて、株式会社フォトロンが初めて実機の展示を行った。

Carry Onは、CORTEX Dailiesのソフトウェアを搭載し、オンセットにてカメラの収録データをそのまま内蔵カードリーダーから取り込んでバックアップ、デイリー処理を行えるようにしたポータブルシステム。複数のメモリーカードからコピーでき、内蔵12TBのSSD以外にも同時に外部ストレージにコピーすることもできる。MD5チェックサムにより、ある程度のファイルコピーエラーを修復することができるという。またデータファイルの管理表をPDFで作成することもできる。市場で使われているカメラおよびフォーマットをほぼ網羅しており、複数の種類のカメラで収録しても1つのプレイリストで管理し、プレビューできる。

編集での便利な機能として、オリジナルデータで発生した映像と音のずれを同期させることができる。映像と音がずれて記録されてしまっていることは稀ではないという。これを現場で修正できてしまう。タイムコード、クラップ音、または手作業で映像と音信号の波形を見ながら修正する。

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カラーグレーディングについては、プライマリとしてASC CDLに対応、カラーマネージメントは1D/3D LUTやACES CTLに対応しており、通常のカラコレ機能が揃っている。作業にはTangent WaveとElementパネルを使うこともでき、また出力フォーマットによって変わるディスプレイ上での見え方を事前に比較してプレビューもできる。

特記すべき点は、マルチトランスコード機能だ。CPU/GPUパワーが許す限り、無限のフォーマットに同時トランスコード処理ができる。追加メタデータを埋め込むことも可能。

ポータブルシステムはパワフルな64bitワークステーションで、HD-SDI/HDMI経由で4K出力、Wi-FiとBluetooth、USBにThunderbolt2.0ポートを装備している。ショートカットなどがそろった専用キーボードがビルトインされている。

(山下香欧)