Blackmagic Designの発表によると、プロダクションスタジオのCardy Filmsが「Life of Hers」の撮影にBlackmagic Production Camera 4Kを使用したという。サマンサ・チオマ氏脚本、オーラン・カラーディ氏およびオラ・マーシャ氏監督による「Life of Hers」は、低予算で制作された新しいドラマシリーズ。ロンドンのアフリカン・コミュニティで暮らす4人の女性の生活を描いている。
「Life of Hers」に登場するのは、キリスト教終末論の1つである千年王国説を信じる4人の女性。同ドラマでは、若い女性の複雑な生活模様、そして民族的伝統と新しく吸収した文化の狭間に生じる葛藤を描いている。パイロット版ではNetflixのストリーミング形式を踏襲し、5エピソードはすべてYouTubeで同時公開された。
「Life of Hers」の制作責任者であり、撮影を担当したオーラン・カラーディ氏は、脚本家であり友人でもあるオラ・マーシャ氏と共に共同監督も務めた。カメラマンとしてのカラーディ氏は、同ドラマに素朴なフィルムライクな質感を持たせ、自然なスキントーンを実現したいと考えた。
カラーディ氏:事前にBlackmagic Production Camera 4Kのスペックをチェックした際、このカメラが実現できる美しい演色性とスキントーンは今回のプロジェクトにぴったりだと確信しました。私は多くのEFレンズを所有していますが、35mmセンサーはこれらのレンズの長所を引き出してくれます。また、ProRes収録が可能なことも大きかったですね。私は普段RAWで撮影しているのですが、今回のように締め切りや予算が厳しいプロジェクトでは、RAWはかえって扱い難くリスクが大きいんです。
カラーディ氏は、女性たちが生活するドラマの世界観を最大限に表現するには、彩度を押さえた方がよいと考えていた。
カラーディ氏:登場人物はみな悩みを抱えていますが、その多くは彼女たちの内面的な葛藤です。明るい色や過度な照明を使用すれば、私たちが視聴者に伝えたいと思っているこの内省的な雰囲気を損なうことになってしまいます。
Blackmagic Production Camera 4Kで撮影するにあたり、最適な設定は400ASAであることが分かっていたので、照明には細心の注意を払いました。照明は、ARRI 650Wを2つ、そして必要に応じて画面にアクセントを付けたり、光源を追加するためにいくつかのLEDライトを使用しました。比較的狭いスペースで撮影していたので、光源はこれで十分でしたね。また、暗めのフレームに光を加えるために、セット内に明かりをいくつか設置しました。
カラーディ氏:スケジュールの関係により、撮影が行われた時期は、夜の8時過ぎまで明るかったんです。つまり、夜のショットでも昼間に撮影しなければなりませんでした。照明の配置やゲルで工夫して、夜のショットを作り上げたのです。またProResで撮影したことで、ポスプロでホワイトバランスなどの調整が必要な場合も柔軟に対応できました。
カラーディ氏:4Kで撮影できることは、編集の際にとても役立ちました。ポスプロの段階でショットの構図を変更したい時も、画質を損なうことなく、画面を切り出してクローズアップのショットが作れます。1つのショットからワイドショット、ミディアムショット、クローズアップショットを作れるのは素晴らしいですね。今回のように限られた時間と、さらに限られた予算のプロジェクトではなおさらです。Blackmagic Production Camera 4Kのおかげで、予算内で最高品質の色と画質を実現することができましたよ。