Blackmagic Designの発表によると、ポストプロダクションであるThe Lookが、制作会社や代理店のインハウス・ポスプロチームと共同作業が行える新しいリモートグレーディングサービスの一環として、それぞれにDaVinci Resolveを導入したDIルームを3室増設したという。この新しいサービスの中心となるのは、DaVinci Resolveのコラボレーティブ・ワークフローと、リアルタイム・グレーディング機能だとしている。
ソーホーの中心地に拠点を置くThe Lookは、これまでにCM、ドラマ、映画、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのサービスを提供している。今回の新しいサービスで、制作会社のポスプロチームが最終納品を受け取る前に、プロジェクトを編集してコンフォームし、The Lookのカラリストとリモートグレーディングを行えるようになった。The Lookと制作会社(またはクリエイティブエージェンシー)の双方がプロジェクト設定を所持することで、編集を変更する際にThe Lookに依頼して別のグレーディングを適用する必要がなくなったという。
The Lookのカラリストと制作会社のポスプロチームは、グレーディングに関する話し合いを行い、The Lookは専用のメディアウェッジを開発。このメディアウェッジをLightSpaceと一緒に使用することで、クライアントのモニターが正確にキャリブレーションされていることをグレーディング前に確認できる。リモートセッションではカラー設定のみが送信され、グレーディングはリアルタイムで行われる。
The Lookのトーマス・アーバイ氏は、新しく導入されたグレーディングルームの1室を利用して、Rubber RepublicによるAudiの新CMのDI作業を行った。
アーバイ氏:撮影の後、制作会社が荒編集をコンフォームし、ProResファイルとしてDaVinci Resolveに書き出しました。私がそれらの編集に最初のグレーディングを施した後、制作会社はそれらのグレーディング済みショットを彼らの編集にインターカットして、まだラッシュしか確認していなかったAudiに送りました。
1週間後、編集がほぼ固まってきた時点で、私はプロジェクト全体のグレーディングを開始しました。最終グレーディングを確認後、Rubber Republicがクライアントにファイルを送りました。
編集の過程においてグレーディングの予算が組まれることはあまりないので、今回の手法は普通ではありません。時間が限られている場合などは、読み込んだビデオファイルをアップロードし、DaVinci ResolveをソーホーのDIルームに接続するだけで、グレーディングを作業の最終段階ではなく制作過程全体を通して行えるようになったんです。
今回導入した新しいリモートグレーディングサービスによって、クライアントは世界中のどこからでも、ソーホーでもトップクラスのカラリストと共同作業を行い、彼らのスキルと経験を存分に生かせるようになったんです。今まで不可能だった方法ですね。