2年前にキックスターターでビッグサクセスを生んだ「Digital Bolex D16(デジタル・ボレックスD16)」。Bolexからブランド名をライセンスしてもらい、Bolex H16の次世代機としてDigital Bolex D16と名付けられた。2012年3月に約1000万円を募集したところ、一か月未満で倍の資金額を調達成功。製品完成度に妥協がなく、100以上の開発プロセスを遂げ、最初のプリオーダー100台が出荷されたのが2013年の8月だ。その後正式出荷は12月になった。

141010_bolexall

D16は、スーパー16mmサイズのCCDセンサーで12-bit RAW “デジタルネガティブ(つまりCinema DNG)”を生成する。有機的でフィルムの色温度を表現する、まさに映画制作者たちを魅了するデジタルシネマカメラなのだ。Ikonoskop社のデジタルシネマカメラA-Cam DIIを思わせると思ったら、同じTruesenseのCCDセンサーを採用している。このTruesenseは元コダックのイメージセンサー開発会社イースタン・コダックがスピンアウトしブランド名を会社名にしたもの。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2014/10/141010_topview.jpg

カメラトップには320×240モニターが実装されており、またHDMIで外部モニターやEVFを装着して使用できる

D16は、このアナログなCCDセンサーで画面全体の信号を一気に読み出してシャッター動作をする。2K RAW 2048×1152(スーパー16mmモード)または1920×1080(16mmモード)のほか、今後のファームウェアアップグレードで720pや480pにも対応する。フレームレートは32fpsまで調整でき、HFRは将来的に2Kで30fps、1080pで30fpsに対応予定。

内部ストレージは250GBと500GB(SSD)が用意されており、例えば500GBでは2Kで約1時間40分(144,436フレーム:01:40:18:00)、HDで約1時間54分(164,310フレーム:01:54:06:00)の記録ができる。またCFカードスロット2基が用意されている。


メインメニューのほかにもISO、シャッターアングルやヘッドフォンボリュームなど、プログラマブルになっている設定はクランクで行えるようになっている。今後のファームウェアでは、ハンドル動作のメタデータを一緒に記録できるようになる予定で、ポスト編集の際に、よりフィルムライクな効果を追加できる。また撮影中にフレームレートを制御できるようになるという。

今年にはいってモノクロセンサーを採用したモノカラー版カメラ「D16M」もリリース。D16に搭載されている最新のCCDセンサーから光学ローパスフィルターを取り除いて開発された。

D16Mのサンプルフッテージ

141010_bolexall_01

リリースしたばかりのKish絞り固定f/4レンズセット(10mm、18mm、38mm)995ドル

一般的なワークフローは至ってシンプル。DaVinci Resolveに直接読み込み、Rec.709でProRes422 HQなどに出力し、そのあとでAdobe Premiere Pro CCといった編集ツールで編集すればいい。またオプションソフトでBolex LightPostというRAWファイルをコピーしたり、ProRes422やProRes4444に変換して転送できるMac環境用のソフトウェアが揃っている。

D16の価格は256GBハードドライブ装備で$3299.99、500GBハードドライブ装備で$3599。D16Mは550GBハードドライブ装備で$3999.99。

141010_Wooden-Camera-cage

アクセサリメーカーも黙っておらず、今年に入ってHot Rod Camerasが設計したPLマウントアダプターや、コールドシュー、LEDパネルライトや数社からリグも登場している(画像はWooden Cameraのケージ)

また最近になってテレビデビューも果たしている。FOXのテレビ番組グリー(シーズン5)の5月6日放送エピソード19“Old Dog,New Tricks”にてElite PLレンズをマウントしたD16カメラで撮影したシーンが登場する。



(山下香欧)