ローランド株式会社は、内部の接続を自由に組み替えることが可能なミキシング・コンソール“O・H・R・C・A(オルカ)”「M-5000」を2015年2月に発売する。価格は未定。

O・H・R・C・Aとは、オープンの“O”、ハイ・レゾリューションの“H・R”、コンフィギュラブル・アーキテクチャーの“C・A”と、3つのキーワードのイニシャルからなっており、「多様性を満たすコンソールは実現できないのか」と考え、行き着いたコンセプトとしており、内部構成を自由にカスタマイズできるフル・デジタルのミキシング・コンソールだ。使用できるチャンネル・タイプの一覧(インプットのチャンネル、メイン、サブ・グループ、オグジュアリー、ミックス・マイナス、マトリクス、モニター、トーク・バック、オシレーター、ヘッドフォンなど)から、必要なチャンネルの数を自由に設定することができ、最大で128チャンネル分を使用したオリジナル構成のミキシング・コンソールを作り出すことができる。入出力不足を補うミキサーやシグナル・プロセッサーの追加は不要なので、接続機器が増えることによって生じる音の劣化や遅延のリスク、機器間の調整によるトラブルなどを回避できるとしている。

同社のデジタル伝送フォーマット「REAC」に加え「Dante」「MADI」「SoundGrid」などの各種デジタル音声伝送フォーマットにも対応した別売のオプション・モジュールにより、さまざまなシステム構築が可能。最大300入力/296出力(96kHz動作時)を実現。また、メインとバックアップの2回線を接続(伝送の二重化)することで、メイン回線に不具合が生じた際、バックアップ回線に切り替わる。

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FPGAとDSPの2種類のチップを組み合わせたハイブリッド構成のミキシング・コアを採用し、96kHz化も含め、従来よりも高精度な演算にて処理が行われる。ミキシング・バスは、72ビット演算でダイナミックレンジを確保し、全ての入力信号をミックスしたときも、情報を削ることなく、そのままの音での信号処理を実現。

本体中央部にある12インチのタッチスクリーンで基本的なパラメーターの集中操作が可能。指でタッチし、呼び出した機能を画面下の17個のノブとスイッチで調整が行える。8フェーダー×3エリアの「フェーダー・バンク」では、レイヤー選択とスクロールでチャンネルを呼び出し、フルカラーの有機ELディスプレイに情報を表示する。さらに、ユーザーが自由に設定できるフェーダーやノブ、スイッチ、モニターやトークバックなどのユーティリティー、外部制御端子なども搭載。

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その他にも、O・H・R・C・A専用コントロール・ソフトウェア 「M-5000 RCS」による、パソコン(Mac/Windows)からの各種操作が可能。操作にはUSB端子とLAN端子を用い、ワイヤレスLAN機能を使用した遠隔操作も可能。セカンドディスプレイとして、入出力のメーターなど、各種情報を自由にレイアウトできる。また、専用アプリ「M-5000 Remote」により、iPadからのリモートコントロールに対応する。iPadとの接続は、Dockコネクター経由の有線接続と、ルーターを採用した接続、ワイヤレスアダプターで通信する方式の3通りから選択可能。M-5000 RCS、M-5000 Remoteともに2015年春に対応予定。