自社でコーデックを開発している株式会社テクノマセマティカルのブースでは、8K(7680×4320)60p映像データをリアルタイムでHEVC復号化する技術を紹介している。

8K映像データのリアルタイム処理技術といえば、NHK技研と一緒に開発を進めている三菱の名前が上がってくるが、今回のテクノマセマティカルはソフトウェアベース。独自のアルゴリズム“DMNA”を用いてIntelマルチコアCPUだけでリアルタイム復号化処理を実現するという。市場でも先行組で、4K60p(10bit)のリアルタイム処理も昨年後半で実現させている。

今回の参考展示では、HEVC Main10準拠の10bit、4:2:0でリアルタイムデコードし、シャープ製の8Kディスプレイに再生。同社のコーデックはBスライス対応でデブロッキングフィルターを採用。リアルタイム処理なのでデモンストレーションでは1passだが2pass処理(VBR)でも処理を行える。

同社ではそのほかにも、4Kをキーに超遅延、高品質な映像伝送を行える技術を実演しており、4K60pのAVCエンコードとデコードを各1RUのアプライアンスで処理し、超低遅延でUDP伝送できるシステムや、ストレージを搭載したアプライアンスを複数台組み合わせることで、大画面、高精細な4Kマルチ画面の同期表示を行うサイネージを実現するシステムを紹介している。

141121_tmc_4KAVC

遅延150msecの4K60p/AVC伝送が1RUアプライアンスで実現する

また新製品の紹介として、独自のコーデックを採用した、高品質なフルHDライブ映像(1920×1080/60fps)を0.1秒という超遅延で伝送できるシステムの実演も行っている。新製品は軽量・小型化され、エンコーダー、デコーダー各モジュールのサイズは、幅18cm、縦5cmで重量は1.5kg程度。5/10/15/30fpsからフレームレートを瞬時に変更できるようプリセットボタンが用意されている。伝送レートは128kbps~3Mbpsまで。

現行サイズのシステムはキー局でも採用されており、今回の新製品についても撮影現地からの超遅延でライブ伝送するケースのほか、監視やライフサイエンスなどに活用できるとしている。価格はエンコーダーとデコーダーセットで100万円程度。量産販売は来年1月を予定している。

141121_TMC_HDoriginal

デモでは3Mbpsで伝送。ケーブルテレビ番組以上の品質レベルを実現していた

(山下香欧)