アストロデザインは測定器のメーカーということもあり以前は地味な存在だったが、業界に先駆けて4Kや8Kのカメラを開発し、広く知られる存在になったといえるだろう。同社は昨年に引き続きカメラやモニター機器、測定器など数多くの4K/8K製品を出展しているが、すでに8Kをメインターゲットとしているようで、ブースのPOPも8K表記が目立っていた。通常「4K/8K」と表記するところを「8K/4K」としているあたりにも常に先を行くという同社の姿勢が現れているといえよう。
カメラ関係ではすでに販売が開始されている8KカメラAH-4800の周辺機器の充実が図られており、カメラアダプターやインターフェース、伝送装置、レコーダー、VF、モニター、カラーグレーディング装置など、制作に必要な周辺機器をひと通りラインナップされており、8K制作においては自社製品のみで完結できるようになった。
HDから4K、8Kへと進むに連れアップ/ダウンコンバーターなど相互乗り入れを行う機材が必要になってくる。特に4K/8Kにおいてはシネ系とビデオ系(放送)では微妙な解像度の違いやフレームレートのほか、カラースペースも異なるためそうした規格に準拠した機材が必要だ。また、4Kや8Kで収録した素材からHDを切り出して使うなどHD/4K/8Kをブリッジする機器は必要性が増している。4K/8Kはこれから試験放送が始まる段階であり、HDのように収益構造ができていないため、素材の使い回しというかワンソースマルチユースが当面必要になるからだ。
単板式スーパーハイビジョン8KカメラAH-4800。カメラ本体は先端のみで後部に光伝送が可能なヘッドアダプターAT-4803がビルトインされている。CCUアダプターAR-4804で受けてSNAP12や3G-SDI☓4といった8K信号に変換される。もちろんインカムやリターン、タリー、音声などの信号も光ケーブルで伝送されるようになっている
フルHD表示が可能なビューファインダーDF-3515。すでに発表となっているフルHDビューファーDF-3512よりかなり小型化が図られている
1920☓1080のフルHD表示が可能な電子ビューファインダーDF-3512。フォーカスアシスト機能、マーカー表示などに対応
参考出品のフルHD 3D電子ビューファインダーSM-3303-A。以前にも3D表示のVFがあったが、表示パネルのクオリティが向上したモデル
4K液晶モニターDM-3413。12インチの3840×2160のパネルを採用した4K対応モニター。2倍4倍の拡大表示が可能なほか、オプションで波形表示に対応。入力は3G-SDI Level-A/Bが装備されている
4K-HD低遅延切り出し回転・ブレ補正装置GP-4020。4Kを地上波のHD番組制作で有効利用することを目的として日本テレビと共同開発されたもの。生放送でも使えるように1フレーム以下の遅延で処理できるように設計されているほか、4Kの一部を切り出して使うためHDで画面を回転させても見切れない。また、空撮などでのブレ補正や画面の一部を切り出して使う場合望遠(拡大)になるためブレが目立つ場合の補正に対応
8K色域変換装置VP-8208。BT.709とBT.2020のカラースペースの相互変換に対応しており、ガンマ補正、リニアマトリクス、アパーチャー補正などが可能
8K SSDレコーダーHR-7516。独自RAWフォーマットによる圧縮コーデックを採用。記録メディアも高速転送が必要になるため、SSDを8枚内蔵した専用記録メディアに記録される。1/4.5圧縮時で約50分、1/8圧縮時で60分以上の記録が可能
バックアップ伝送システムCB-5542。STLなどの無線伝送路を有線IP網でバックアップする装置で、約32.5MHzの放送TSを20MHz程度まで圧縮する。双方向伝送に対応可能で、平常時は素材の伝送などに活用できる
8Kバックアップ装置TB-8101。提案案件なので型番を含め確定していないが、350MB/sで容量10TB、保存期間20年以上となっている。4K/8KとなるとHDの4倍16倍の容量になるため大容量かつ高速なバックアップシステムが必要になる。デモでは同社のSSDレコーダーの記録メディアからのバックアップが実演されていた
MMTレコーダー&プレーヤーCP-5541。MMT(MPEG Media Transport)は4K/8K放送の伝送規格として標準化(ISO/IEC23008-1)が進められているもので、CP-5541その規格に準拠したレコーダー&プレーヤー。MMT多重化方式のストリームを解析するアプリケーションMMTアナライザーSP-5800も出展されていた