ホワイトハウスは連邦政府の補助金として3年間で2.63億ドルを警察の訓練とボディカメラ用に確保したことを明らかにした。
補助金7500万ドルを使い、3年間で5万台のボディカメラを配給していく。訓練用の補助金は、国土安全保障への準備プログラムとして、装甲兵員輸送車といった警察の準軍事機器に充てられるとのこと。ボディカメラは既にメリーランド州をはじめ、都市を管轄する多数の警察署で採用されており、車に取り付ける監視カメラのように警察官の活動の最終的な記録をするように設計されている。
実はファーガソンの抗議をきっかけに、このようなカメラを求める声が高まった。先月、米ミズーリ州ファーガソン市黒人少年銃殺事件で、銃を発した白人警官が無罪とされた陪審法廷の判決に対して抗議の波が全米に広がり、今や波紋が世界中に広がっている。追ってクレバーランドで起きたビービーガンを警察官に向けた12歳の男子が誤って射殺された事件でも、現場検証のため現場映像の提出を求められている。
今回の補助金で配給されるカメラ数は、全米75万人以上もいる警察官全員をカバーできるものではない。ワシントン州のように、事件調査に関与していない警察記録の開示を求める公共記録の法律がある州において、プライバシーの問題を引き起こすことは否めない。さらに毎日、何万台というカメラから収集される莫大な量の映像データの扱いをどのように行うのかというロジスティクスの壁がある。
TASER社のAXON Flex
そのワシントンD.C.では10月から6か月間、地元警察官が警備中に肩や胸にカメラを取り付けるというパイロットプログラムを開始している。カメラ着用により警察官との衝突は20%以下になると、効果が期待されている。報道によると今回のプログラムでは3メーカーからカメラを取り寄せており、総額は約28万ドル。価格は299から899ドルと様々で、眼鏡に取り付けるPOVカメラのTASER社、VIEVU社とWolfcom社製のもの。調査で使用されない映像は90日以内に破棄される。ワシントンD.C.だけでなく、ロサンゼルスやニューヨークでもカメラ着用の動きは始まっている。
(山下香欧)