ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)は現地時間23日、公開中止を決定していたコメディ映画「The Interview(ザ・インタビュー)」を25日から米国内の一部の映画館で行うことを決定した。

11月下旬、SPEはサイバー攻撃を受けて同社の極秘情報が流出した。さらにサイバー攻撃を実行したハッカー集団が、同作品の上映を予定していた劇場にテロ行為を示唆するような脅迫メールを送るといった被害が発生。これにより、事件の火種は北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺を題材にした本作であるという推測のもと、FBIを中心に捜査が進められていた。

SPEでは各映画館チェーンに対して、公開を取りやめる選択肢を提示していた。これに応え、リーガル・エンターテインメント・グループやAMCシアターズ、シネマーク・シアターズといった大手劇場チェーンが本作を上映しない方針を表明していた。SPEはその後、映画公開を取りやめる表明を発表。しかし、この判断はサイバー(北朝鮮の圧力)に屈したとし、オバマ大統領や世論から批判を受けていた。

SPEはまた、映画館での公開に加え、同日からYouTubeを通してネット配信する。YouTube以外にも、Google PlayやXboxを通してレンタルおよび購入ができる。また米国のみだがSPE自身が立ち上げた、「ザ・インタビュー」専用のサイトからも5.99ドル(2泊)でレンタルすることができる。

ホワイトハウスは映画公開決定を歓迎する意向を表明。シュルツ報道官は声明で「オバマ大統領が前週末に明言しているように、米国は海外の独裁者が検閲を押し付けるような国であってはならない」とし、「ソニーおよび公開する映画館により、人々はこの映画に対し自分自身で選択することが可能になる。我々はこの成果を歓迎すべきだ」と述べている。

(山下香欧)